2017 Fiscal Year Research-status Report
魚類の免疫応答における概日リズムの解明 ~免疫増強剤の効果向上を目指して~
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17K07915
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
河野 智哉 宮崎大学, 農学部, 准教授 (60527547)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 魚類 / 概日リズム / 時計遺伝子 / サイトカイン遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、まず初めに明期12時間・暗期12時間(LD12:12)条件下でトラフグを飼育し、供試魚の脾臓における時計遺伝子(Bmal1・Per1)およびサイトカイン遺伝子の発現パターンを解析した。その結果、時計遺伝子Bmal1遺伝子の発現は、明期(ZT4;明期開始時=ZT0)で最大となり、暗期(ZT20)において最低となる発現パターンを示した。また、その発現パターンは周期性を持つことが分かった。このことから、魚類の一次リンパ組織における概日リズムの存在が確認された。さらに、同サンプルにおけるサイトカイン遺伝子の発現パターンを解析したところ、炎症性サイトカインTNF-alphaおよびリンパ球の増殖・分化を制御するIL-2ならびにIL-21遺伝子について、概日リズム様の発現パターンが認められた。このことから、魚類におけるサイトカイン遺伝子の発現も、哺乳類と同様に概日リズム性の振幅を示すことが明らかとなった。 同時に、時計遺伝子によるサイトカイン遺伝子の発現制御機構を調べた。具体的には、TNF-alpha, IL-1betaおよびケモカイン(CCおよびCXC)遺伝子のプロモーター領域を解析し、時計遺伝子の転写調節領域(E-boxやRORエレメント)が存在するかを検討した。その結果、全てのサイトカイン遺伝子のプロモーター領域に、E-boxまたはRORエレメントの存在が確認された。現在、当該遺伝子領域をPCRによって増幅し、レポーターアッセイ用のコンストラクトを作製中である。次年度は、完成したコンストラクトを用い、レポーターアッセイを実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫系組織における時計遺伝子ならびにサイトカイン遺伝子の発現に、概日リズムが存在することを明らかにできたことは、高く評価できる。レポーターアッセイ用のコンストラクト作製には時間を要しているが、この点については申請時から予想をしており(申請書に記載済)、進捗状況に問題はないものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究推進状況は順調である。このため、次年度も引き続き当初計画に基づいて研究を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
遺伝子の発現リズムの解析が順調に進展し、当初計画していた消耗品・キット類の購入が不要となったため。 繰越予算は、次年度購入予定の試薬や消耗品費、また、成果の公開に必要な英文校閲費の一部として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)