2017 Fiscal Year Research-status Report
混獲防除のための底曳網の分離漁獲機構に関する生物行動学的・漁具力学的研究
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17K07916
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
三橋 廷央 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 助教 (30623954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安樂 和彦 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (50274840)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 底曳網 / コッドエンド / 漁具選択性 / 分離漁獲装置 / 接触確率 / 水産学 / 資源保全 / 網内流速 |
Outline of Annual Research Achievements |
底曳網における網パネルや金属グリッド等で構成される分離装置による対象生物の種・サイズの獲り分けには、対象生物が分離装置に接触(遭遇)するかと、分離装置の選択性(機械的または物理的ふるい分け)との2つの効果が加わっている。前者は主に種ごとの生物の網内行動に、後者は網目等の形状と生物の体の大きさや形に依存することから、対象生物の網口・網内での行動とその制御及び底曳網コッドエンドの網目展開形状に注目した。 平成29年度は、曳網時の底曳網の網成り(網目展開状況)の解明と簡易な網目展開装置の開発及び生物種ごとの入網及び網内行動の確認に取り組んだ。鹿児島大学練習船かごしま丸により、東シナ海大陸棚上で底曳網操業を行い、網内に小型水中カメラを設置して曳網中のコッドエンド網地と網目の開き具合を撮影した。この底曳網の模型網(縮尺1/20)を本学回流水槽で曳網し、網全体の網成りとコッドエンド網目の展開状態を観察した。また、上記の小型水中カメラを網口及びコッドエンド内に設置し、それぞれの部位における入網生物の行動撮影を試みた。 曳網中のコッドエンド網地は水流により波打つように動き、網目の開きも網地の動きによって刻々と変化することが確認された。網目を安定して開くことで網目選択性を向上できると考え、簡易な網目展開装置を考案し、回流水槽実験によりその効果の検証と大きさや装着位置等の検討をするため、底曳網の部分模型を製作したが実験実施には至らなかった。既存水中カメラによる撮影は、着底曳網時は漁具が巻き上げる砂泥による照度低下によりシャッタースピード低下の影響が顕著で、鮮明な画像を得ることができなかった。そこで低照度下でも鮮明な画像を得るために、新たにデジタル一眼レフカメラを用いた水中カメラ(耐圧200m)を試作して、その性能評価に着手した。陸上暗所での予備試験では鮮明な画像を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は練習船航海士として乗船勤務しており、H29年度は台風避難航海(年間計画外)のために、予定していた回流水槽での模型実験の一部を実施できなかった。実験に使用する模型は完成しており、H30年度のできる限り早期にこれらの実験を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は、以下の研究に取り組む。 1. 簡易な構造のコッドエンド網目展開装置の仕様を回流水槽での模型実験結果に基づいて決定し、附属練習船かごしま丸または南星丸でフルスケールの試験を行い、開発した網目展開装置の効果の検証と実用上の課題等の検討を行う。 2. 海上実験により、水中分光放射照度計測システムでの水中照度測定と製作した水中カメラの性能評価を行い、カメラの撮影限界水深を求める。その結果に基づいて底曳網に装着して撮影する際のカメラ露出等を設定する。 3. 上記カメラを附属練習船の底曳網に装着して対象生物の対漁具行動を撮影し、本研究の対象種であるマアジとヒラツメガニの対漁具行動を明らかにする。マアジのLED灯光に対する行動観察を併せて行い、灯光による分離装置への誘導の可能性を検討する。
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