2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of practical and effective immersion nanovaccines against bacterial fish diseases using novel nanomaterials
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17K07922
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
三留 規誉 常葉大学, 教育学部, 准教授 (90431981)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ナノワクチン / 魚病 / 外膜タンパク質 / 抗原 |
Outline of Annual Research Achievements |
水産用ワクチンは注射法により個体ごとに接種するものがほとんどであり、一度に数万匹を処理しなければならない養殖場において普及の妨げとなっている。本課題では、キトサンを原料とした新規ナノ材料である中空針状のナノチューブを、浸漬ワクチンのベクターとして利用し、簡易なワクチンデリバリー法を開発するための研究を行う。具体的には、(1)魚のワクチンとなる抗原性タンパク質の調製法の開発、(2)ワクチンベクターのナノチューブの調製法とワクチンの導入法の開発、(3)作製したナノワクチンの評価を行う。これらにより、新規ナノ材料を利用した細菌性魚病に有効で実用的な水産用浸漬ナノワクチンを開発する。 2023年度は、Viblio harveiに対するナノワクチンとListonella anguillarumに対するナノワクチンの調製条件の最適化とナノワクチン接種したコイの体内で抗体ができているかを評価した。 V. harveiとL. anguillarumを培養し、培養菌体からそれぞれの外膜たんぱく質を精製した。キトサン修飾したHalloyseite G(ナノチューブ)に対して過剰量の精製した外膜外膜タンパク質を混合することにより、ナノチューブ1㎎あたり、V.harveiの外膜たんぱく質は18μg、L. anguillarumの外膜たんぱく質は10μg吸着することを確認した。これを浸漬法ワクチンとしてコイに接種した。接種後から3週間後にナノワクチンを追加摂取してその1週間後に採取した血清中の抗体の生産とタンパク質への結合性を、それぞれの菌のタンパク質に対するウェスタンブロットで確認したところ、V. harveiのナノワクチン接種のコイの血清、L. anguillarumのナノワクチンの接種のコイの血清のいずれでも、タンパク質に結合する抗体を確認した。このことは、V. harveiとL. anguillarumのナノワクチンでそれぞれの菌に対する抗体がコイの血清中に作られることを示している。
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