2017 Fiscal Year Research-status Report
漁業という職業を潜在漁業者に売り込む漁業就業プロモーション戦略構築に関する研究
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17K07926
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
宮田 勉 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 中央水産研究所, 主幹研究員 (70463099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若松 宏樹 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 中央水産研究所, 研究員 (90722778)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 漁業に興味がある人々が調査対象 / 漁業就業確率の高い要因解明 / 趣味と漁業就業の関係 / 所得と漁業就業の関係 / 活動的な人と漁業就業の関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究をレビューした。既存漁業者を対象とした調査や水産高校生を対象とした調査が中心であり、あるいは、漁業実態分析と規範的アプローチを組み合わせた研究がいくつかあった。このほか、一般市民に対する漁業イメージの調査はあったが、漁業就業に直接つながる調査ではなかった。すなわち、漁業就業に興味がある人々を対象とした調査は皆無であった。ただし、既存漁業者や高校生を対象としたアンケート調査票の質問内容は本調査において参考にした。 その一方で、漁業就業に興味のある人々は非常に少なく(大手調査会社の事前相談/プレテスト結果)、結局、漁業に興味を持つ人々が集まるオンサイト調査以外にないと判断し、水産庁や漁業就業者確保育成センターの協力を得て、オンサイト調査を実施した。 200名の回答があったが、未回答設問があったため、分析に使うことができたデータは161であった。 結果概要であるが、従属変数を「是非漁業体験がしたい」という項目に設定した。この背景としては、現在水産庁や漁業団体の事業においても、またこれまでの実態においても、最初のステップは漁業体験であり、ここに強く興味を持てない人々ではその先のステップに進めないことからこのことにフォーカスした。是非漁業体験をしたいと考える人々は全体の38%であった。 これをロジステック回帰によって分析した結果(是非漁業体験をしたい=1、その他0(体験経験者除く))、若い人ほど、体を動かす仕事に向いている人ほど、子供がいない人の1を選択する確率が高く、さらに、漁村に対するイメージとしては、遊ぶ場所がある(釣りなどの趣味)、今より収入が高くなる、住宅環境や就業時間を気にしない人々は1を選択する確率が高くなっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、先行研究のレビューが終わり、行政や漁業団体との関係構築と調査協力、調査実施と分析が終了した。そして、潜在漁業者の特徴と潜在漁業者が抱く漁業や漁村に対するネガティブ・ポジティブ要因の解明を行った。さらに、本研究直前に行った北海道水産業普及指導員との担い手に関する意見交換、岩手県漁業生産者に対するアンケート調査などをまとめるとともに、岩手県の漁業者を対象に聞取り調査を実施した。 これらをまとめて、日本水産学会において口頭発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策について、計画通り、調査、分析、解析、研究報告を予定している。それに加えて、国内の先行研究が十分でないことから、海外においても情報収集を行い、当該研究の発展につなげるとともに、世界における当該研究のオリジナリティについて明確にするため、2年に1度世界の水産経済・社会研究者が集まるIIFETにおいて情報収集、意見交換を行う。また、分析モデルについても当該学会で情報収集し、発展させる。 昨年度結果を発展させるため、漁業に多少でも興味のある一般市民を対象にWeb調査を行い、昨年度結果と比較分析を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していたWebアンケートであるが、潜在漁業者を対象にして行うことができないことが明確になったことから(対象者が非常に少なく、解析できない)、オンサイト調査に全て含めて実施したため、この費用が不要になった。また、岩手県の漁業者を対象としたパイロット調査の旅費であるが、岩手県から複数の講演依頼があり、この講演に漁業生産者が集まったことから、ここで調査を実施し、情報収集を行った。その他、東京都内のアンケート調査では、研究代表者が指導していた東京大学や東京海洋大学の学生がボランティアで手伝ってくれ、賃金は不要となった。 H30年度、本研究を発展させるため、世界最大の水産経済・社会学者が集まるアメリカ・シアトルで開催されるIIFET学会で漁業担い手に関する研究発表等の情報収集を行う計画である。また、一般市民を対象として漁業・漁村イメージを解明し、初年度実施した調査結果と比較分析を行い、研究をさらに進展する。このような旅費やWeb調査費に補填する計画である。
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Research Products
(1 results)