2018 Fiscal Year Research-status Report
水流による浮遊・遊泳補助を利用したマダコ種苗生産技術の開発
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17K07928
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
團 重樹 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (20443369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱崎 活幸 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (90377078)
岡 雅一 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 瀬戸内海区水産研究所, センター長 (30426308)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マダコ / 養殖 / 種苗生産 / 水流 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度のマダコ幼生の行動実験で得られた撮影記録の観察と結果の解析を実施した。使用した0、5、10、および15日齢のマダコ幼生の平均乾燥重量はそれぞれ0.48、1.12、2.73、および5.51mgであった。行動観察実験を実施した300mL円柱容器内の水流環境を、上昇流を正の値、下降流を負の値とした流速で表すと、-11.3、-9.0、-6.8、-4.5、0.0、4.5、6.8、9.0、11.3、および13.5mm/秒であった。観察時間中に幼生の摂餌行動が見られたのは全観察数960個体のうち59個体であり、水流との関係は認められなかった。一方、水流と幼生遊泳位置の間には明確な関係が認められた。0日齢と5日齢の幼生は、水流がない条件下(0.0mm/秒)でも昼夜ともに水槽上部に位置していた。そして、幼生の遊泳位置は下降流が強くなるほど下方に、上昇流のもとでは上方へと変化した。10日齢または15日齢になると、幼生は水流に関係なく日中は中層、夜間は上層に位置していた。これらの結果から、若齢のマダコは水流に抗って泳ぐ力が弱く、上方向への遊泳を補助するためには、本実験において安定して上層へ定位可能であった6.8mm/秒以上の上昇流が有効であると考えられた。 上昇流を発生可能な中規模の飼育装置を開発した。500L円形水槽2面をホースで接続し、片方の水槽を飼育水槽、他方をサーバー水槽とした。サーバー水槽に送水ポンプを設置し、塩ビ管を介して飼育水槽の底面中央に10L/分の強さで海水を吹き付けるようにした。送水した海水は連結ホースからサーバー水槽へ戻って循環するようにした。エアレーションはサーバー水槽にのみ設置した。飼育水槽にマダコ幼生を収容して遊泳状況を観察したところ、水槽底に吹き付けられた海水によって水槽壁面付近に生じる上昇流に蝟集し、幼生が沈降し難い環境が創出されていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、水流の向きと強さがマダコ幼生に及ぼす影響を明らかにすることに成功した。また、マダコ幼生を長期飼育するための水流装置の開発も順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、マダコ幼生を長期養成するために必要となる餌の開発に着手する予定である。開発予定の餌と本年度までに開発した水流飼育装置を組み合わせることで、マダコ幼生を安定的に飼育することができる技術の開発を目指す。
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