2018 Fiscal Year Research-status Report
ヒスタミンを生成するモルガネラ・サイクロトレランスの動態解明とファージによる制御
Project/Area Number |
17K07931
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 浩司 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (40250500)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ヒスタミン食中毒 / Morganella / 水産食品 / バクテリオファージ / ヒスタミン / 食中毒 / モルがネラ / 微生物制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度に分離した Morganella psychrotolerans に対して感染し,強い溶菌力を発揮するバクテリオファージ6株(MPV1-5株)について,本研究で新たに分離した M. psychrotolerans 37株に対する溶菌スペクトルを調べ,MPV5株が最も広い溶菌スペクトルを示すことを明らかにした。このMPV5株をCsCl密度勾配超遠心分離法で精製し,透過型電子顕微鏡による形態学的な観察を行い,Caudovirales目 Myoviridae科のバクテリオファージと同定した。このファージの一段増殖曲線の結果から,MPV-5株は,潜伏期90分,上昇期120分,バーストサイズ1,023 PFU/infected cellのファージであることが明らかになった。MPV5株は40℃, 30分間の加熱に安定であり,pH5-10では24時間後でも安定であった。耐塩性は1.0M NaCl,低温耐性は4℃保存で4週間にわたって安定であった。しかし,-20℃で凍結すると感染効率が悪くなった。したがって,MPV5の保存は冷蔵保存が適していると結論した。MPV5株の宿主細胞への吸着特性を調べ,温度の低下とともにMPV5株の吸着率がわずかに低下すること,pH5-8での吸着速度には変化はないが,pH9では吸着速度が低下すること,また,NaCl濃度の上昇によって吸着速度が低下することが明らかになった。さらに,MPV5株の宿主細胞への吸着に2価カチオン(Mg2+,Ca2+)が影響しないことも明らかになった。最後に,液体培地において M. psychrotolerans の発育に及ぼすMPV5株の影響を調べ,MPV5株の接種によって M. psychrotolerans の発育が著しく阻害され,またヒスタミンの蓄積も大きく抑制されることが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に平成30年度に実施予定とした研究内容については概ね実施し,予想していた通りの結果が得られている。したがって,現在までの研究進捗状況は順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請時に計画した研究内容に準じて今後も実験を行い,当初計画した成果が得られるよう配慮する。
|
Research Products
(3 results)