2019 Fiscal Year Annual Research Report
Developing climate change resilience for farmers and rural communities
Project/Area Number |
17K07960
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
丸山 敦史 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (90292672)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フィリピン / 脆弱性 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の農家調査のデータを用い、自然災害への対応と被害からの復旧速度、農家属性との関連性を分析した。農家の行動や行政等から受けた支援に大きな違いは見られなく、同質性が高かった。その影響もあり、推計した統計モデルの分散説明力は十分ではなかった。当初は既調査地域で追加調査を行う計画だったが、対象地域を拡大し分析結果の普遍性を検討することがより重要であると判断した。継続性の観点からは対面調査が望ましいが、途上国において広域の対面調査を行うことは、予算的、時間的に極めて難しい。そこで、調査環境が整備されつつあるインターネット調査を採用した。調査対象地域は、ルソン島を中心とするフィリピン北部(マニラ首都圏、RegionⅠ・RegionⅡ・RegionⅢ)とし、さらにマニラ首都圏・バギオ市、アンジェラス市、オロンガポ市、ルシーナ市を都市部、その他を農村部と定義した。 最終的に、345件のデータが収集された。回答者の年齢は20代後半から30代に集中しており、昨年度調査の最頻値が50代にあったことを考えると、今回のサンプルは農家サンプルを代表しているとは言い難く、比較分析の際は注意を要する。農家サンプルの世帯所得は非農家サンプルに対して有意に低く、他方、都市農家・農村農家サンプル間には有意な差は見られない。日常生活の大風被害について復旧に通常かかる日数を聞いたところ、1週間程度の回答に最頻値があった。他方、農業被害については1ヶ月程度に最頻値があり、1シーズンそのものが失われてしまうケースも2割程度あった。予備的分析の結果では、年齢が高く、農業依存度が高いほど普及に時間が掛かり、災害対策のための経済的な貯えがあるほど短くなった。また、農業被害に限定した分析では、収入源が多様であり、低地より高地の回復日数が短くなる傾向が見られた。地域性については十分な検討ができていなく、今後の課題としたい。
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