2018 Fiscal Year Research-status Report
EU市場下における農協の多国籍化・「会社化」とガバナンス構造の研究
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17K07965
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 秀樹 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (90227166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 元 広島大学, 生物圏科学研究科, 助教 (40762779)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多国籍農協 / 国際協同組合 / 脱協同組合化 / 農協ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
EU市場下で,農協の本国を越えた事業展開が拡大し農協の国際化が進むと共に,農協事業の「会社化」も進行している。筆者は,ヨーロッパにおける農協事業の「会社化」形態を,「株式会社」化,子会社化,非組合員投資家出資枠導入形態の3類型に整理した(田中,2005)。こうした農協事業の多国籍化と「会社化」は,組合員による農協ガバナンスを難しくしている。 2018年度は、スウェーデンの農民連合LRFとスウェーデン農科大学を訪問し、資料収集、研究者との意見交換等を行った。スウェーデンは北欧の中でも、デンマークに比べ農業条件が不利であり、EU市場下において、食料農業資本の草刈場になっており、2000年以降、農協の国際合併、買収が進み、農協再編が急速に進んでいる。 酪農分野においては、多国籍農協Arla Foodsが、デンマークのMD FoodsとスウェーデンのARlaの合併(2000年)により成立以降、ドイツ、ベネルクス3国、イギリスにも拡大し、まさに多国籍農協となった。穀物販売分野においても、国内単一農協が成立し、事業の国際化が進み国際協同組合化している。食肉分野では、フィンランドの食肉加工販売農協により買収され「会社」形態となり、スウェーデンの食肉販売農協は解体した。 また、フィンランドの農協についても研究分担者が調査を行い、調査結果をまとめつつある。 これらの調査結果をふまえ、「EU市場下における北欧農協の国境を越えた再編-スウェーデンから見て-」というタイトルで学会誌への投稿を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたスウェーデン、アイルランド、フィンランド、デンマークについて、調査することができており、ほぼ予定通りの進行である。 ただし、多国籍化したArla Foods農協の,国境を超えたガバナンス構造についてさらなる補完調査が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、多国籍農協内部のガバナンス構造について調査し、その結果を論文にまとめる予定である。多国籍農協は、国を超えた合併であり、組合員の言語も異なり、そのガバナンスには難しさが予想される。農協の多国籍化は、世界的に見ても珍しく、わが国においても農協の県域合併が進む中で、そのガバナンス構造に注目が集まっており、研究の意義がある。
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