2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K07967
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
坂井 教郎 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (80454958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 重之 琉球大学, 農学部, 教授 (30333397)
杉村 泰彦 琉球大学, 農学部, 准教授 (80405662)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 伊江島 / 種子島 / 耕畜連携 / 連作障害 / 含蜜糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,甘味資源作物の意義を検討するために,国内の南西諸島地域の研究を重点的に実施した。対象は次の2点である。 第一は,さとうきび作・製糖工場が一度消滅したもののその弊害が大きく,再度,工場を建設し,さとうきびが復活した沖縄県伊江島の事例である。同島は花卉や野菜,葉たばこ,畜産(肉用牛)が主力品目であるため,さとうきびの生産が衰退し,2004年に製糖工場が閉鎖された。しかし葉たばこの連作障害が顕著になったことから,2012年に製糖工場(含蜜糖)が復活している。現在は,葉たばこかラッキョウを栽培する農家が,連作障害対策として数年に一度,さとうきびを植える形の輪作がなされるとともに,さとうきびの作物残渣が土作りの役割も兼ねている。ただしこの島では,さとうきびはあくまでも副次的な位置づけであり,規模の大きな農家でも2ha程度の面積でしかない。また堆肥や飼料利用によるさとうきびと畜産の連携も弱く,輪作作物としての役割が主である。また全ての葉たばこ・ラッキョウ農家がさとうきびと輪作を行っているわけではなく,島内でも圃場条件の悪い地区でさとうきびとの輪作が行われている状況である。そして既往研究でみられたような,さとうきび収穫後すぐに葉たばこ農家が期間借地をするような,土地利用における強い連携関係は見られなくなっている。 第二は,さとうきびと畜産の連携関係の強い種子島の事例である。この島のさとうきび農家の多くは畜産農家の堆肥を利用し,他方でさとうきびの梢頭部を肉用牛農家へ餌として提供している。またさとうきびと畜産の複合経営も多い。こうした結びつきは,双方にとって相手が不可欠の存在となる。ただしその結びつきは個別的であることから,小規模農家などがその結びつきから弾かれている側面がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度2~3月に実施する予定であった台湾調査および与論島・奄美大島における調査が,新型コロナの流行の影響により実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
与論島のさとうきびと畜産の連携は,堆肥センターとさとうきびの収穫機械利用が結節点となる先進的な取り組みであり,その実態と成立条件についての調査を実施する。 また甘味資源作物の新しい利用実態については,奄美大島の地元産黒糖を使った焼酎や加計呂麻島のきび酢の調査を実施する。 また新型コロナの収束次第となるが,台湾やハワイにおけるさとうきび消滅後の調査についても実施したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスのために2月,3月に予定していた国内外の調査がすべてキャンセルとなった。次年度は8,9月にかけて国内外の調査を実施する。
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