2020 Fiscal Year Research-status Report
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17K07967
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
坂井 教郎 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (80454958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 重之 琉球大学, 農学部, 教授 (30333397)
杉村 泰彦 琉球大学, 農学部, 准教授 (80405662)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 伊江島 / さとうきび / 黒糖 / 輪作作物 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)園芸の島におけるさとうきび作の意義 園芸作物や葉たばこの特化度が高く,さとうきびの存在が小さい伊江島におけるさとうきび作の意義について,現地調査と関連データの分析を実施した。その結果,伊江島では直近8年間で半数の圃場がさとうきびを1度しか作付しておらず,2度以内で約8割を占め,さとうきびの連作が一般的である他の島とは異なる土地利用であった。しかし8年間の土地利用を見ると,多くの圃場でさとうきびが1回以上栽培されていた。このことから,園芸作物等の特化度の高い島において,さとうきびは輪作作物としての役割がより前面に出ていることが明らかになった。一方で,この島のさとうきびの作付割合の高い集落は,島内でも土壌等の条件の悪い地域であることから,園芸作物等が栽培できない地域においては,さとうきびが農地を埋め放棄地の発生を防ぐ役割を持つ面もある。ただし,農業経営におけるさとうきびの所得確保の意義は小さい。 (2)地域特産品への原料供給の意義 さとうきびの役割の一つとして,地域特産品への原料供給がある。これは主に含蜜糖(黒糖)に関してである。ここでは奄美群島の黒糖焼酎を事例として,黒糖焼酎メーカーおよび原料調達を担う酒造協同組合に,原料調達の現状と今後の方向性について調査を実施した。奄美群島の黒糖焼酎メーカーでは,供給不安定な国産原料をカバーするために,大手を中心に海外産黒糖の利用が進んでいる。しかし2022年の原産地表示制度の経過措置終了への対応から,国産原料へシフトする必要がある。他方で沖縄産黒糖の在庫のだぶつきが続いていることから,黒糖焼酎への沖縄産原料の利用が進むことが考えられる。しかし供給量および品質の不安定性の問題があり,必ずしも全面的に国産原料への移行が進むとは言えない状況にあった。今後はこうしたミスマッチの解消の方策について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地での聴き取り調査はコロナ禍の影響で制限されたが,伊江島では過去数年分のさとうきびの圃場毎の作付データなどを入手し,定量的な分析を実施することができた。また含蜜糖の需要側と供給側の双方の調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
黒糖焼酎の原料調達問題に関しては,その最大の調達元である沖縄の含蜜糖工場とその関連団体の調査により黒糖の需給と流通状況について明らかにする。 園芸がさかんな島におけるさとうきびの意義については,伊江島の作付圃場データ分析と補足的な調査の実施を行い,成果を学会において発表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響により,計画していた国内調査が実施できなかったため。 研究代表者と分担者の居住する県内(鹿児島県・沖縄県)への移動は可能と考えられるので,今後は南西諸島の甘味資源調査を中心に実施する。具体的には,奄美大島と伊江島における調査である。
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