2017 Fiscal Year Research-status Report
「米生産調整廃止」後の兼業・稲単作地帯における水田利用高度化の条件に関する研究
Project/Area Number |
17K07970
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 勝則 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (80315605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 毅 山形大学, 農学部, 教授 (60355261)
椿 真一 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (20404204)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 経営複合化 / 生産調整 / 水田利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は国による米の生産数量目標の配分がなされた最後の年であった。2018年度以降においては、生産者団体等が生産数量の目安を提示することはあっても、それにリンクした助成金などのメリット措置はなくなる。そのため、生産者における作付の自由度は高まるといえる。 こうした中、今年度は定点観測を行う大規模水田作を営むモニター経営を選定するとともに、その経営概況や、経営体の所在地域における社会経済的環境の状況、2018年度に向けた事業展開の状況について把握した。モニター経営は、秋田県が5経営体、山形県が1経営体、愛媛県が1経営体、福岡県が2経営体である。 近年におけるモニター経営の事業展開の特徴をみると、次の点に整理される。第1に、農業従事者の高齢化による農地の貸出希望の増加を受けた経営耕地面積の拡大である。第2に、農産物の独自販売への試行的取り組みである。そのために特別栽培米やGAP等の認証制度への対応が行われている。第3に、雇用導入である。規模拡大と事業多角化により必要労働が拡大したことによるが、雇用導入は通年での就業機会の創出を経営体に要求する。そのため第4に、米と作業時期が競合しない作物の作付け、すなわち複合部門の取り組みにつながっている。ただしそれは地力を増進するような作目の組み合わせとは限らず、その意味で水田利用の高度化に必ずしもつながっていないという課題が明らかとなった。 なお、2018年度における作付け意向に関しては、地域農業再生協議会等から提示される生産数量の目安に即して作付を行う傾向がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定点観測の対象となる水田作経営を選定し、その概況を把握することができたものの、モニター経営の数としては目標に若干足りなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
モニター経営を岩手、宮城など数カ所追加する。一定地域の経営体に網羅的アンケートを行う予定であったが、それだと水田利用高度化のメカニズムを解明するに耐える詳細なデータを取得しにくい。そこで網羅的アンケートは、各地で市町村やJAが行った既存のデータで代替できないか検討することとし、その分、モニター経営の事業展開の動態過程を分析に力点を置く予定である。
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Causes of Carryover |
定点観測するモニター経営の依頼に至らなかった経営があり、そこへの調査旅費および謝金が未使用に終わったためである。その分については、2018年度早々に別のモニター経営を追加する予定であり、当該経営に対する調査旅費及び謝金として使用する予定である。
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Research Products
(11 results)