2020 Fiscal Year Research-status Report
Social Factors and Extension Procedures for Promoting Sutainable Agriculture
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17K07978
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
市田 知子 明治大学, 農学部, 専任教授 (00356304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 栄一郎 法政大学, 比較経済研究所, 教授 (30328900)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | EU / ポスト2020年改革 / 環境保全型農業 / 環境要件 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、EUの環境保全型農業推進のための新しい政策についての情報を入手し、まとめた。EUの新しい財政枠組み(2021~2027年)においては、環境と気候変動緩和に関して、「より高い水準」を達成することと、そのための政策手段を「簡略化」することを目指している。そのポイントは以下の(1)~(3)の通りである。 (1)クロス・コンプライアンスとグリーニングをConditionality(「環境要件」)に統合し、これらを面積や家畜頭数に基づく直接支払いを受ける農業者すべてが守るべき「義務」とする 。「環境要件」は「クロス・コンプライアンスの仕組みに似ているが、グリーニングより実質的に簡略なもの」である。両者を統合することにより、これまで別個に行われていた検査や罰則適用も一本化される。 (2)「より高い水準」を達成するため、グリーニングの要件である「作物の多様化」を輪作に「アップグレード」することが例として挙げられている。「環境要件」の適用が共通農業政策の環境に関する目標を達成すべく、加盟各国がSWOT分析を行い評価することが前提とされている。また、「適切な農業活動」(GAEC)に以下の3項目の追加が提案されている。1)炭素貯留のための湿地や泥炭地の適切な保全、2)適量な施肥を行うための有用な方法(土壌中の栄養分の漏出や温室効果ガス排出の防止)、3)EUの重要な法律である「水枠組指令」および「農薬の持続的使用指令」の内容 (3)政策の財源の変更:これまで「義務」とされたグリーニングの財源はEUのみ(第1の柱)、「任意」とされた環境支払いの財源はEUと加盟国が分担して財政負担していたが(第2の柱)、「ポスト2020年改革」では、「任意」とされる活動や取組についてもEUのみが財政負担をするケースを想定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大のため、欧州での現地調査はできなかったが、web上で公開されているEUの資料、現地の調査協力者とのオンライン面談等と通して、最新の情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、可能な範囲で現地の最新の情報の把握に努め、成果としてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大のため、当初、予定していた現地調査ができなかった。
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