2018 Fiscal Year Research-status Report
人口減少・高齢化の下での中食の供給構造の動向とその健全な成長に関する研究
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17K07981
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
薬師寺 哲郎 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (20356306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 克也 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (20371015)
八木 浩平 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (50769916)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中食 / 消費 / 応用一般均衡 / 日本食 / 労働力 / 付加価値 / 食品摂取 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題1:中食の生産・流通構造の動向分析 食品製造業において、中食生産は高い伸びを示している。2012年から2016年にかけての食品製造業の付加価値増加の多くの部分は中食生産の増加であった。しかしながら、これらの業種は労働集約的な業種であり、従業者1人当たりの付加価値額で見ると他の業種よりも低い。このことは、中食の発展にとって、労働力不足が大きな制約になる可能性を示している。応用一般均衡モデルを用いて、労働力減少の影響をシミュレーションすると、生産年齢人口が7%減少すると、労賃は7.6%上昇、製品の国内価格は全ての産業で上昇するが、最も上昇率が高いのが惣菜の4.8%、外食の4.9%という結果となり、今後相当の生産性の向上が必要とされることが確認された。 課題2:中食産業のオペレーションに関する動向分析 いくつかの惣菜メーカーにヒヤリングを行った。1人当たり付加価値増加の方向には、コスト削減の方向と付加価値創出の方向の二つの方向がある。コスト削減については、野菜のカットなどの下処理を専門の向上で大規模に行っている例があった。労働の資本による代替である機械化については下処理の部分はある程度可能であるが、製品生産の部分は少量多品種生産であることもあり限界がある。一方、労働力不足に対して、外国人労働者の活用によって対処している例があった。 課題3:中食の浸透が食品摂取に及ぼす影響の分析 2018年2月に東京23区の2人以上世帯の女性を対象にしたwebアンケートに基づいて、食事パターンと栄養摂取の関係を分析した。食事パターンとして、内食、中食(主食)、中食(おかず)、中食(めん類)、外食の5つを設定した。その結果、野菜摂取量は、内食頻度が高いほど多く、中食(主食因子)頻度が高いほど少なくなるという結果となった。また、食塩摂取量は、内食頻度や中食(主食)頻度が高いほど低くなるという結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「中食の生産・流通構造の分析」については、労働集約であるという中食生産の特性と労働力不足という近年の動向をマクロ的に分析するため、生産物市場と生産要素市場の双方の均衡を盛り込んだ応用一般均衡モデルを構築して分析することができた。 「中食産業のオペレーションに関する動向分析」ではいくつかの総菜メーカーのヒヤリングを行い、現状の問題点の抽出を行うことができた。 「中食の浸透が食品摂取に及ぼす影響の分析」では、中食と栄養素摂取の関係を分析することができた。 今年度は以上の3つの課題のそれぞれについて内容を深めることができたが、最終年度に向けて更に分析内容を深めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
「中食の生産・流通構造の分析」において、構築された応用一般均衡モデルを用いて、中食生産が労働力減少に対処するためにはどの程度の生産性の向上が必要かをシミュレーションする。その際、家計部門を65歳以上層と未満層に分けて生産年齢人口のみで生産する場合と高齢者の労働参加に期待する場合のそれぞれのケースについて分析することを検討する。 「中食の浸透が食品摂取に及ぼす影響の分析」では、中食商品の摂取パターンと食品摂取の多様性指標との関係を新たに分析するほか、単身世帯や男性を対象にした調査を新たに実施する。
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Causes of Carryover |
「中食の浸透が食品摂取に及ぼす影響の分析」において行ったインターネット調査の対象を2人以上世帯の女性に限ったことで調査経費を浮かせることができた。次年度は、単身世帯の男女を対象としてインターネット調査を行うこととし、その経費に充てる。
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Research Products
(2 results)