2022 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of rural settlement mechanism in the Tohoku paddy field
Project/Area Number |
17K07986
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 房雄 東北大学, 農学研究科, 教授 (30221774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水木 麻人 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 研究員 (20772502)
角田 毅 東北大学, 農学研究科, 教授 (60355261)
中村 勝則 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (80315605)
川島 滋和 宮城大学, 食産業学群, 教授 (80404846)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オープンイノベーション / 社会関係資本 / 六次産業化 / 移住・定住 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年域外からの若者らの移住、定住で地域に新たな活力を生み出している山口県周防大島町を訪問し、同町の地域活性を牽引してきた株式会社瀬戸内ジャムズガーデンの取組を検討した。瀬戸内ジャムズガーデンの代表的な事業は、ジャム作りに代表される地域資源を活用した6次産業化と、里山オープンイノベーションである。後者については、観光による付加価値の創出、地域外からの移住・定住を促進する様々な取り組み、若年層に対する地域回帰に向けた教育で構成されている。 瀬戸内ジャムズガーデンの取組を経済学の視点からみると、地域資源を活用した商品開発や販路拡大に伴う顧客獲得で地域内所得を確保するとともに、原料の域内調達、高利益率の直接販売の重視、地域の他産業への6次産業化の波及による所得流出の抑制を実現している。加えて、農福連携や相場より高い価格で加工原料向け農産物を買い取るなどで地域住民の所得を増加させている。さらに付加価値の獲得を目指した観光事業の実施、地域の空き家の宿泊施設への転用により域内消費を拡大させている。これらの取組で得られた利益の一部は生産設備へと還元されており、地域内経済の好循環を創り出している。社会学の視点からは、瀬戸内ジャムズガーデンを取り巻く地域社会とそこに構築された社会関係資本、特に長年地域に根ざした荘厳寺の住職との関係性と地域住民とのネットワークが事業の展開に不可欠であった。経営学の視点からは、オープンイノベーション、すなわち多様な視点を有するさまざまな人々が相互に補い合うチームの形成、リスクを最小限にとどめられる規模での新規事業の実践とそのなかから有力事業を展開していくことなども事業を持続的に成長させる重要な取組となっている。 これまでの研究成果から、農村集落の再生には社会関係資本を活用できる人材の養成が肝要であることが明らかになった。
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