2019 Fiscal Year Research-status Report
ボランティア型農的体験活動の現地コーディネート機能と政策的推進方策に関する研究
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17K07993
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
鈴村 源太郎 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (90356311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 誠二 福知山公立大学, 地域経営学部, 教授 (20625991)
小野 智昭 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (80356310)
山田 崇裕 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (40625076)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ボランティア型農的体験 / 少人数分宿型教育旅行 / 農村ワーキングホリデー / 援農ボランティア / 農業体験農園 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は農的体験活動にかかる各担当分野のとりまとめを進めると共に、書籍編纂に向けた準備を進めた。書籍については、章構成の骨子を作成し、担当割りを概ね決定したところである。各研究担当に関する進捗状況は下記の通りである。 農村ワーキングホリデーに関しては、19年6月に「農村ワーキングホリデーが農業新規参入に与える効果-WHと農業新規参入施策の連携による農業参入障壁の軽減-」と題する学術論文が掲載された。また、17年に長野県飯田市において実施した大規模参加者アンケートの調査結果を05年実施のアンケート調査と比較分析した研究の論文化を引き続き進めている。 少人数分宿型教育旅行については、18年度に行った「少人数分宿型教育旅行の受入コーディネート組織等への電話聞取り調査と簡易アンケート調査」で得られた結果を学会発表したものの、論文化には至らなかったため引き続き20年度の課題としたい。また、当該受入の先進地である沖縄県における現地調査は新型コロナウィルス感染症の影響で中止となった。 農業体験農園については、19年度日本農業経営学会において「都市部における民間企業による市民農園事業の参入動機と経営特性-「全国市民農園リスト」掲載企業と市民農園を対象として-」と題する個別研究報告を行った。なお、本報告は論文化の査読過程を終了し受理となっている。また、19年5月には東京都練馬区の農業体験農園を対象にヒアリング調査を実施し、受入側と参加者側双方の心理に潜在する「ホスピタリティ」の存在を確認した。 援農ボランティアに関しては、19年12月に「無償農業ボランティアの作業条件と作業環境」と題する学術論文が掲載された。また、現地実態を通じて得られた無償ボランティアと有償ボランティアとの構造や効果に関する比較分析について検討を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の成果公表については、課題により多少のアンバランスがあるものの、学会報告や学術論文等の成果に至っているものも多いため、上記の評価とさせていただいた。当初の予定で最終年度であった2019年度は、年度末に新型コロナウイルス感染症の影響で、研究遂行がストップしたが、その遅れは20年度に回復可能と見込まれる。 農村ワーキングホリデーについては、19年度中に学術論文が掲載されており、現在アンケート調査を中心とした投稿論文を鋭意執筆中である。 少人数分宿型教育旅行については、19年度中に学会報告を達成しており、その成果の論文化に向けてさらなる研究を進める所存である。 農業体験農園については学会報告を達成しており、論文化に向けた査読が進んでいる。 援農ボランティアについては学術論文が掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は本研究にとっての最終年度であるため、研究全体のとりまとめを鋭意進めるとともに、研究の概要に示した書籍の編纂についても、具体的な執筆に向け取り組みを進めて参りたい。 農村ワーキングホリデーについては、長野県飯田市における05年と17年のアンケート調査の比較分析結果とりまとめを最優先に論文化を図りたい。また、農村ワーキングホリデーと農業新規参入との親和性については、現地調査を行い研究の精緻化を進めたい。 少人数分宿型教育旅行については、受入コーディネート組織等を対象に2018年度および2019年度の受入実績値を追加調査しつつ、新型コロナウィルス感染症の影響という2019年度末に発生した新たな事態の現状を把握する。その結果から当該事業を今後どう展開し得るのか考察したい。 農業体験農園については、19年度の現地調査で明らかとなった「ホスピタリティ」の存在を踏まえ、参加側と受入側双方の経済的価値交換過程を実態に即して整理する。さらに経済的価値交換過程と非経済的効用交換過程の両立により形成される「互酬性」を事例分析に基づき明らかにしたい。 援農ボランティアについては、19年度に行った無償ボランティアと有償ボランティアの比較研究を深化させ、20年度中の学会報告等の成果発表に結びつけたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、2019年度末に実施予定だった追加調査、最終現地報告会、報告書の取りまとめ等が全てキャンセルになってしまったため、研究期間の延長を申請した。そのため次年度使用額が生じたものである。 2020年度の使用計画としては、残された個別課題ごとの現地確認調査のほか、最終の現地研究報告会を開催予定である。また、研究取りまとめに際しての打ち合わせ会議を開催する予定もあるため、残額については余すことなく有効に活用していく所存である。
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