2018 Fiscal Year Research-status Report
「将来的な復旧の可能性を残した無居住化集落」の形成手法:新しい選択的過疎対策
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17K07998
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
林 直樹 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (50446267)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 無居住化集落 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、無居住化の回避が難しい場合の次善策として「将来的な復旧の可能性を残した無居住化集落」の青写真と形成手法を提示することであり、大きく二つ、「人間と社会」(歴史的連続性など)、「自然と工学」(生産基盤など)の2系統に分けて実施している。
人間と社会:研究協力者の小山元孝氏と京丹後市の無居住化集落の元住民へのインタビューを行い、「歴史的連続性」「民俗知」「負の感情」などに関する個人的な思いを明らかにした。現段階では質的なレベルにとどまっているが、基礎的なデータが整ったことにより、アンケートによる量的なデータ収集と分析が可能となった。連携研究者の杉野弘明氏の助言のもと、質的データ解析手法の習得に努めた。
自然と工学:紙から一つ一つデータを読み取ることを断念し、旧版の地形図、古い郵便区全図、電信電話総合地図をGIS上で使用できるように変換した。国勢調査のグリッドデータを使用し、大字レベルの無居住化集落を抽出した。GIS上にデータをのせたことにより、さらに小さな単位での抽出も可能となった。また、国土数値情報などの豊富な情報を使用した分析(例:土地の標高や積雪量や道路密度が生産基盤維持状況におよぼす影響)が可能となった。研究協力者の浅原昭生氏と新潟・石川・富山方面の無居住化集落を訪問し、そこまでの道路状況、土地管理状態などを記録した。現地にて元住民と出会った場合は簡易的なインタビューも行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
歴史的連続性に関するワークショップや小冊子作成が実施できなかったが、インタビューでかなりの情報が収集できた。生産基盤の維持に関する因果分析が実施できなかった(関連するデータ収集や整理は順調であったが)。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のようにやや遅れが生じてしまったが、いずれについても、遅れを取り戻すことが可能な範囲内であり、全体としての研究計画はそのまま維持する。ただし、住民ワークショップについてはインタビューにより情報が入手できたため、縮小・中止することも検討する。
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Causes of Carryover |
現地調査の準備が遅れ、積雪による調査不能期間に入ってしまった。2019年度春季に実施する。
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Research Products
(1 results)