2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of environmental DNA metabarcoding method for aquatic organisms in agricultural canal systems
Project/Area Number |
17K08010
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小出水 規行 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (60301222)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 環境DNA / メタバーコーディング / 水生生物 / 農業水路系 |
Outline of Annual Research Achievements |
水や土壌等の環境サンプルから抽出したDNA(環境DNA)を利用して,そこに生息する生物種を推定する技術が注目されている.本研究では,環境DNAの塩基配列を決定し,その塩基配列をDNAデーターベースに照合することによって,農業水路系における魚類と甲殻類等の水生生物種を網羅的に検出可能な環境DNAメタバーコーディング手法を開発する.本成果は,これまで負担であった生物調査における個体採捕や種同定作業等を必要とせず,現行の生物調査法に代替する簡便かつ効率的な手法として,今後,広い普及が期待される. 平成29年度においては,当該年度の研究実施計画にしたがって,以下の取り組みを行った. 環境DNAの抽出法として,0.7µmグラスフィルターを使用したろ過とDNeasy Blood and Tissue Kitを使用したDNA抽出を標準とした.ろ過回収量を高めるには0.45µmステリベクスフィルターを,DNA抽出の多検体同時処理にはDNA自動分離装置における改変フェノール法も利用できる可能性を確認した.次年度に取り組む課題を先行させて,ユニバーサルプライマーMiFishを利用した,農業水路に生息する魚類の予備推定を行った.広島県内の5水路で採水した水1リットルを分析した結果,水路全体で6科20属26魚種のDNA配列が検出された.各水路では9~21種が確認され,ヤリタナゴ,オイカワ,カワヨシノボリ等の計6種が全水路で共通した.現行の個体採捕調査によってこれだけの種を一度で確認することは難しく,環境DNAメタバーコーディング手法の高精度さが実証された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の計画に相当する環境DNAの標準的抽出法を決定でき,さらに次年度の計画である魚類の環境DNA分析も先行して実施できたため.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,前年度に継続して魚類の環境DNA分析を行う.また,甲殻類についても魚類と類似の解析ができないか,検討を進める.
|
Causes of Carryover |
平成29年度に発生した次年度使用額95,698円は,分析を効率的に行ったために,試薬購入量が予定よりも少なかったことによる.この使用額については,引き続き次年度の試薬購入費にあてる予定である.
|