2018 Fiscal Year Research-status Report
Water management of irrigation for greenhouse agricultureuse using effluent from rural sewage trertment plant
Project/Area Number |
17K08014
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
浜田 康治 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (00425521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀山 幸司 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (90414432)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 農業集落排水 / 再生水 / 施設農業 / 水管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
OD法が導入されているA集落排水処理場の二次処理水のECは国内の農業(水稲)用水基準や畑地灌漑用水質適性限界値を超過するものの、FAO灌漑用水ガイドラインには適合していた。また、処理水のSARが2.56±0.25であったことから、処理水はかんがい利用において大きな障害がない水質と考えられる。溶存態有機炭素は平均3.4 mg/Lであったが硝酸態窒素濃度が平均3.47 mg/Lと一般的な河川水や湖沼水に比較して高い傾向があった。また、糞便性大腸菌群数は<2~536 cfu/100mL(95%ile:536 cfu/100mL)であり、ISO 16075-2を参照すると、直接利用においてはドリップかんがいやマルチなどを活用することで食用作物の使用が可能な水質に相当すると考えられる。さらに、上記二次処理水を対象として、塩素消毒および砂ろ過、UF膜等による追加処理を施し、大腸菌数および糞便性大腸菌数、懸濁物質の処理効果を検討した。砂ろ過やフィルタろ過によって指標微生物数が概ね低下する傾向がみられ、UF膜によるろ過後は指標微生物が検出されず常に良好な水質が得られた。砂ろ過やフィルタろ過は大腸菌数の低減への寄与は小さいものの、懸濁物質の除去には大きく貢献しており、UF膜の閉塞による問題を緩和し、処理全体の安定性に大きく寄与した。また、明条件・暗条件での貯留・送水を想定した試験を実施し、条件による大腸菌などの消長の特定を評価した。ドリップかんがいにより農業施設内でトマトの栽培実験を実施し、栽培前後において土壌抽出水中の溶存態有機炭素濃度を測定した。土壌抽出液中の溶存態有機炭素は、処理水区、水道水区ともに栽培前に比較して栽培後に上昇したが両条件で大きな差はなく、処理水利用による土壌環境への影響はみられなかった。現時点では短期的な土壌への影響は確認されないが、長期的な影響評価のために調査の継続が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた3つの課題に対して概ね順調に調査・試験を継続している。予定していた試験系を全て実施できていないものの、それぞれの試験を着実に実施してきており、最終年度の取り組みにより当初の研究目的を果たすことが可能であると考えているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に引き続き計画した3つの課題に取り組む。特に最終年度は、再生水を用いた土壌カラム試験による土壌への影響評価に重点をおき取り組む。また、とりまとめとして、それぞれの課題の成果を統合し、圃場で安全に再生水を使用するための技術開発に資する基盤となる成果を創出する。
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Causes of Carryover |
現地試験に使用していた農業施設が台風により倒壊したことなどにより、予定していた試験の一部を実施できなかった。このため、最終年度は室内試験を強化し、土壌カラム試験による土壌への影響評価を重点的に実施することで、当初の目的を達成することとしたい。
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