2018 Fiscal Year Annual Research Report
A modeling study on forest soil moisture in the permafrost region under future climate conditions: wet or dry?
Project/Area Number |
17K08019
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中井 太郎 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 特任助教 (50400015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 岳史 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20152142)
飯島 慈裕 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (80392934)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 永久凍土 / 気候変動 / 土壌水分動態 / 活動層 / 北方林 |
Outline of Annual Research Achievements |
環北極域の森林(北方林)は北東ユーラシアを中心として永久凍土上に成立している。この地域では将来、大幅な気温上昇とともに降水量の増加が見込まれており、気温上昇による凍土の融解深(季節融解層(活動層)の厚さ)の深化に伴う根圏土壌の乾燥化、および降水量増加による根圏土壌の湿潤化という真逆の可能性が示唆されている。このような背景から、将来の気候変動が永久凍土と共生的に分布する北方林の成長・維持に及ぼす影響を評価・予測するため、北方林と凍土のインターフェイスである根圏土壌の水分動態を解明することを目的として、1年4ヶ月の研究を実施した。 当該研究課題では、東シベリアのカラマツ林を対象に、凍結・融解過程を考慮した土壌物理モデルを構築した。このモデル構築は、気候変動条件下の森林の動態を再現できる陸域生態系動態モデルS-TEDyの土壌物理サブモデルを改良する形で進めた。 地温の鉛直分布の計算には正弦変動モデルを採用し、熱伝導率と体積熱容量の計算に凍結・融解の影響を組み込んだ。土壌表面の地温は、雪がない場合は地表面熱収支式を解いて表面温度を与え、雪がある場合には雪の断熱効果を考慮して求めた。 一方、土壌水分の計算では根圏土壌を一層で扱い、その中で液体水と氷の量を表現するため、氷点下の土壌中の過冷却水の最大存在量が温度に依存して変化することを表現したモデルを組み込んだ。すなわち、氷点下の土壌層全体の液体水はこの過冷却水の最大存在量に従い、それを超える土壌水分は凍結すると仮定した。 これらの改良により、東シベリアのカラマツ林で観測された地温および液体水の土壌水分の季節変化を概ね再現することができた。また、秋の凍結前の土壌水分が氷となって翌年の春の融解まで保存される効果が表現された。このように、永久凍土地域の森林の地温と土壌水分を比較的単純なモデルで表現可能にしたことが当該研究課題の成果である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Extremely dry environment down-regulates nighttime respiration of a black spruce forest in Interior Alaska2018
Author(s)
Nagano, H., Ikawa, H., Nakai, T., Matsushima-Yashima, M., Kobayashi, H., Kim, Y., Suzuki, R.
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Journal Title
Agricultural and Forest Meteorology
Volume: 249
Pages: 297-309
DOI
Peer Reviewed
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