2019 Fiscal Year Research-status Report
スキッド可変株間除草機構を搭載した水田用除草機の開発と難防除環境下での実証研究
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17K08020
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
庄司 浩一 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (10263394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 康弘 島根県農業技術センター, 栽培研究部, 専門研究員 (00541880)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 回転羽根 / 回転数制御 / コナギ / イヌホタルイ / 雑草個体密度 / 減少率 / 欠株率 |
Outline of Annual Research Achievements |
水稲の有機栽培・無農薬栽培で課題となる除草技術のうち,株間雑草の引抜きを実現しつつ水稲を傷めない方法として,回転羽根のスキッドを制御できる除草機の開発と評価を行った。これにより,通常では機械除草に入るには遅すぎるといわれる,移植後20日目以降での大型化した株間雑草にも対応できることを狙う。昨年度の試験では実用機が完成したものの,用意した水田で雑草が繁茂せず,難防除状態で実証できたとはいいにくい状況であった。そこで本年度は株間1条分だけを作業する装置を新たに製作して歩行型管理機に搭載し,雑草が多発する圃場への運搬を容易にして現場での取り回しの向上を図るように改良した。 実験装置として,市販の二輪管理機の後方に回転羽根を搭載した水田用歩行型除草機を製作した。除草機本体から回転羽根へはチェーンにて動力伝達し,スプロケットの歯数比を変えることでスキッドを変化させた。なお,スキッド=(走行速度-回転羽根の周速度)/走行速度と表される。条間除草には既存のロータリ軸に除草ロータを付け替えることで対応した。 島根県農業技術センターの無農薬水田(壌土)において,6月下旬に除草実験を移植後26日目に実施した。主な雑草種はコナギ及びイヌホタルイであり,多年生雑草のオモダカも散見された。昨年度の知見からスキッドは40%に固定して作業した。残草調査を移植後41日目に実施したところ,コナギ及びイヌホタルイについて,株間雑草の個体数の減少率はそれぞれ91%及び67%が得られた。雑草が過繁茂状態で回転羽根に絡みきれずにやや押し倒し気味での作業であったため,水稲の欠株率は13%であった。これを受けて玄米収量は36kg/aであった。スキッドによる株間除草の有効性が確認することができた一方,雑草の繁茂状態を考慮せずに除草作業時期が遅すぎたという,実験の設定上の課題も明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究費の交付を受けてから3年間で除草機の試作機3種を供し,3年にわたって農家水田および試験場での実験を行ったので,当初3年間の研究計画以上の成果を得ている。ただし本年度は,実際の利用場面をあまり考慮せずに,難防除といわれる以上の雑草の繁茂状況にて実験したこともあり,現行の機械除草技術との正確な比較ができていなかった点が,若干考慮すべき点である。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに予定していた実水田での実験は完了しているので,今年度試作した歩行型除草機に若干の改良を加え,主にキャンパス内の水田で検証実験を繰り返し行い,本研究の主題の有効性をさらに確認して研究を締めくくる。
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Causes of Carryover |
三年間で計画以上の試作機を製作し,現場に多く出かけて研究を進めた一方,この課題を選択した多くの学生の助力もあり,人件費・謝金の利用がなかった。余剰の助成金を用いて,直近の試作機に若干の改良を加え,主にキャンパス内の水田にて,本研究の主題の有効性を検証する実験を実施する。
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