2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of robust plant diagnosis system with deep learning and dimensional reduction
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17K08033
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
彌冨 仁 法政大学, 理工学部, 教授 (10386336)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 植物病自動診断 / 深層学習 / 自動診断 / 植物病 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本申請課題に関連した研究成果として、原著論文2件、国際会議論文3件、国内発表5件を挙げた。 我々は頑健な植物病自動診断システム開発のために、これまで協力をいただいていた埼玉県を含む24府県の農業試験場と連携し、信頼できる教師ラベル(病気名)つきの画像データを提供してもらい解析を行っている。本年度は、きゅうり、トマト、ナス、イチゴの4作物の主に葉画像を元にした病害識別器を構築した。症例数の蓄積の大きいきゅうり(約5万枚)については13の病気、11種の複合感染を含む25種識別において平均95.5%の診断精度を達成した。植物の複合感染の自動診断は世界初の成果であり、複合感染のみについても平均8割以上の診断精度を達成した。後者3作物は利用できる画像数が限られていた(~2000枚)ため、診断できる病気の数に限りがあるが、頑健性を高めるための独自の工夫を導入することで、それぞれ9割程度の診断精度を達成した。 また、より実践的な植物病自動診断の仕組み実現のため、広域圃場での複数の診断対象に対する一括診断手法についても開発し、この成果は国際会議ISCIA2018でBest paper awardを受賞した。さらに、広域撮影時には遠方にある植物の解像度は低下して、これらの診断精度は低下する。我々は、敵対的生成ネットワークを応用し、解像度低下を補う深層学習に基づく超解像技術を開発した。提案手法は、1/16まで解像度が劣化した写真から、16倍の超解像を施しても、人間の目では区別がつかない程度の復元が可能で、この手法を利用するにより、6割強であった低解像度の植物の診断精度を9割程度まで大幅に高めることに成功した。 これらは今後の農業自動化において極めて有用な手法であり、また上記の過程で、頑健な識別器構築のためのデータの低次元表現獲得や、注目領域の抽出の必要性など多くの知見と成果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、昨年度目標に挙げた5つの内容<(1)きゅうり:ウイルス病以外の菌類などの病気を含めた高精度な識別器の構築、他の作物(トマト、ナス、イチゴ)に対する識別器の構築も、画像の収集状況に合わせて先行実施 (2)識別根拠の提示(3)前処理による頑健性向上(4)広角画像からの自動診断(5)共感染(複数の病気の感染)に対する診断を実現するだけではなく、研究の過程で今後、実用的なシステムを構築する上で重要になる新しい課題の発見(例:広域一括診断時の解像度低下、画像の多様性による過学習)とそれに向けた解決手法に対して成果(高品質な超解像技術、多様な頑健性を高める手法の開発)が得られたため、予想以上に進んでいると判断できる。 また、得られた成果の一般公開のためのwebベースの植物病自動診断システムの試作も進めており、共同研究者内で共有しはじめられている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、信頼できる教師データ(画像と対になる病気名のラベル)が極めて重要であり、協力いただいている24府県の方々と、画像の撮影、管理について綿密な議論を行っている。現在、診断は、病気の種類が比較的多い葉を基にしているが、(1)実や全体像を用いないと識別できない病気も多数存在するため、これらについての診断技術の開発を行う。 また、得られた成果をフィードバックする仕組みとして、(2)得られた診断技術をweb経由で利用してもらえるwebベースの植物病自動診断システムをより進める。
技術面では、過学習抑制が引き続き重要となる。病気固有の特徴は微細であり、画像の背景などに比べると占める面積、変化が一般的に極めて小さい。それゆえ、結果は入力される画像の背景に大きく影響を受け、学習画像数が限られている場合は過学習を容易に引き起こす。特に診断対象が多様になる場合深刻になる。これらの根本的解決のために、(3)解析対象となる注目領域のみの検出を行う独自手法の開発を行う。また、自動診断で重要な要素は早期発見である。(4)初期症状と健全の高精度の診断も併せて実現する。
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Causes of Carryover |
研究の成果が想定より多く得られたため、国際会議の参加費などの【その他】【旅費】の項目の支出が増加した。一方で【物品費】については、他の費用から機器を購入できたため想定より減額となった。平成30年度単年度としては、29年度からの繰り越しと、31年度への繰り越しがほぼ同額となっており、総額としてはほぼ当初の計画通りの額となっている。
これまでの順調な研究の推移から、平成31年度も得られる成果を対外的に発表していくことが多く見込まれる。平成30年度と同等以上の旅費の支出が必要となると考えられる。計算資源に必要なコストとのバランスを考慮して計画を行いたい。
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