2018 Fiscal Year Research-status Report
深層学習モデリングによる広域穀物単収予測手法の構築
Project/Area Number |
17K08037
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
坂本 利弘 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 主任研究員 (20354053)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リモートセンシング / 高頻度観測衛星 / 作物収量予測 / フェノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
1.深層学習のための時空間データベースの構築 2018年に観測・公開されたMODIS/Terra, Aqua地表面反射率8日間コンポジット合成データ、気象再解析データ(NLDAS-2)等をを収集・フォーマット変換し、時空間データベースの拡充を行った。さらに、昨年度開発した作物フェノロジー把握手法(rSMF)を用いて、2018年分のトウモロコシ・大豆フェノロジー情報データセットを整備した。 2.解析1 植生指数による単収推定モデルの構築 2000~2018年の主要生産地域5州を対象に衛星リモセンデータのみによる単収推定モデルを再構築した。新たに17年分の観測データによる3次近似式推定モデルを作成し、従来の1次近似式推定モデルを用いた場合の推定誤差(RMSE)の比較を行った。結果、新たな3次近似式推定モデルによる誤差は、トウモロコシ:0.91t/ha, 大豆0.29t/haとなり、従来手法よりも若干の精度向上を確認することができた。 3.解析2 random forestを用いた手法との比較 昨年度作成したDeep Learningを用いた方法に加えて、異なる機械学習アルゴリズム(random forest)を用いた推定モデルを構築し、推定誤差の比較を行った。気象環境変数すべてを加えた場合の予備解析結果によると、Deep Learningによる単収推定誤差(RMSE)は、トウモロコシ:0.75t/haおよび大豆:0.35t/haであるのに対して、randam forestによる推定誤差は、トウモロコシ:0.70t/haおよび0.26t/haと、Deep Learningによる方法よりも精度が良く、気象環境データによる精度向上効果も認められた。当初の想定とは異なり、random forestによる推定モデルのほうが精度が良く、モデル構築に要する計算時間の短縮も期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の予備解析結果により、研究計画段階で当初予定していたDeep Learningを利用した推定モデルよりも、randam forestを利用した推定モデルのほうが、精度の良い結果を得られることができ、モデル構築のための試行錯誤・解析時間を省略できるという新たな知見が得られた。当初想定していた結果と異なる予備解析結果が得られたことにより、解析方法等の変更が必要となったことと、また、小麦を対象とした解析に着手できていないことから、「(3)やや遅れている」という進捗状況の区分判定とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度についても、衛星・気象データ等の時空間データベースの拡張を行うとともに、今年度得られた知見をもとに、randam forestを用いた推定モデルの精緻化、解析を進める。また、対象地域全体を一つのモデル式で推定する場合と、州ごとに最適なモデル式を構築した上で推定する場合を比較し、推定モデルのバリエーションを変えることで最終的な推定精度をどの程度向上しうるのかを明らかにする。トウモロコシ・大豆の解析結果を取りまとめた上で、小麦についても同様のアプローチによる解析を着手する。全体的に進捗が遅れ気味であるため、次年度の進捗状況を鑑みた上で、場合によっては補助事業期間の1年延長も視野に入れた研究計画の再設計を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、当初想定していたものとは異なる予備解析結果が得られ、再解析や研究方針の変更等に時間を要し、研究結果のとりまとめが予定通り行うことができなかった。したがって、翌年度分として請求した補助金については、再解析にともなって必要となるハードディスクの購入やソフトウェアの更新料に充てる予定である。
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Remarks |
昨年度発表した論文「Refined Shape Model Fitting Methods for Detecting Various Types of Phenological lnformation on Major U.S. Crops」が高く評価され、日本写真測量学会より学会奨励賞を受賞した(R1.5.23)。
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