2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on the germ cell migration and sex differentiation in domestic chicken
Project/Area Number |
17K08039
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田島 淳史 筑波大学, 生命環境系, 教授 (40207030)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ニワトリ / 性分化 / 生殖巣生殖細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニワトリ生殖細胞の性分化を検討するためには、発生に伴う胚そのものの性分化についても検討する必要がある。そこで、昨年度はニワトリ胚の性分化について検討する事を目的として孵卵5、6、7、8および9日胚を取り出し、胚の体長、体重、眼球直径、各臓器(心臓、肝臓、胃、左右中腎、左右生殖巣)の大きさと重量、および血清中のタンパク質濃度を測定した。さらにSDS-PAGEを用いて血清中のタンパク質の分離を試みた。胚の雌雄判別にはPCR法を用いた。 その結果、9日胚における右側生殖巣の大きさを除き、いずれの測定項目においても雌雄の胚の間には有意差が認められなかった(P>0.05)。 一方、観察期間中を通して、体重に対する心臓、中腎および生殖巣の重量の比率はほぼ一定なのに対し、肝臓および胃の重量が占める割合は有意に増加した(P<0.05)。このことから、ニワトリ初期胚における代謝系と消化器系は、孵卵7日以降に急速に発達すると推察された。 眼球の直径は、観察期間を通してほぼ直線的で有意な増加が認められた(P<0.05)。胚の血清中のタンパク質濃度には孵卵日数の違いによる変化は認められなかったが、初生雛および成鶏との間には有意差が認められた(P<0.05)。 以上の結果から、1) 発生9日目までのニワトリ胚においては、外部形態および生殖巣以外の内臓の大きさと重量には有意な雌雄差が認められないこと、2) ニワトリ初期胚の発生ステージの判定指標として眼球の直径が利用できる可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は、ニワトリ初期胚から採取された生殖巣生殖細胞(GGCs)におけるRNAseqを行うことを予定していた。そのために、RNAseqを行うために必要な数のGGCsを得ることを目的として免疫磁気細胞分離法(MACS法)を用いたGGCsの単離方法を開発した(日本家禽学会2018年秋季大会)。しかし、この方法で分離されたGGCs を細胞マーカーで染色することを試みたところ、特に細胞膜に結合する細胞マーカーに対する染色性に変化が生じていることが示された。これは、細胞膜表面に存在する抗原が、磁気ビーズの結合したMonoclonal anti-mouse SSEA-1(CD15)で覆われたため、他の未分化細胞マーカーに対する結合性に変化が生じた可能性がある。この様な状態のGGCsをRNAseqに供した場合、遺伝子発現に変化が生じている可能性があることから、比較的少数の細胞からmRNAを直接抽出する方法に切り替え、RNAの品質確認を行ったところ、RNAseqを行うために必要な品質のRNAを十分量確保できることが明らかになった。そこで、本年度はRNAの直接回収法を用いて回収されたGGCsを用いてRNAseqを行い、生殖巣および生殖巣生殖細胞における遺伝子発現パターンの変化について検討を行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度はRNAの直接回収法を用いてニワトリ7-9日胚のGGCsおよび中腎から回収されたRNAを用いてRNAseqを行い、生殖巣および生殖巣生殖細胞における遺伝子発現パターンの変化について検討を行う。この結果と、昨年度に実施したニワトリ初期胚の成長パターン解析結果、さらに雌雄の7日胚および9日胚から採取した血清蛋白質のプロテオーム解析を重ね合わせることにより、ニワトリにおける体細胞と生殖巣生殖細胞(GGCs)の性分化の全体像が明確になることが期待される。
|
Research Products
(2 results)