2018 Fiscal Year Research-status Report
ヘプシジンによる子牛の鉄代謝調節:ヘプシジン発現と活性調節機構の解明
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17K08044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
舟場 正幸 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40238655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 徹 京都大学, 農学研究科, 教授 (40181680)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 畜産学 / 栄養学 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
子牛の鉄欠乏性貧血は古くから知られた飼養上の課題であるが、今なお未解決な課題である。ヘプシジンは、フェロポルチン(鉄吸収ならびに再利用を促進する鉄排出トランスポーター)の分解を引き起こすことを通して、血中鉄濃度を負に制御する肝臓由来のホルモンである。この経路に着目して子牛の鉄代謝を評価すれば、子牛の鉄欠乏性貧血の根本的な解決策に向けた基盤情報を得られる可能性がある。本研究は、1. 子牛の成長に伴うヘプシジン関連因子の血中濃度変化、2. ウシヘプシジン遺伝子発現制御、3. ウシヘプシジンによるフェロポルチン分解活性の解明を目的としている。
研究二年目に、当初の予定通り、合計19頭の子牛から出生直後から4か月齢まで血液を経時的に採取し、一部分析を行った。また、これまでにヘプシジン遺伝子の転写はBMPによって制御されるSmad経路によって制御されていることが知られているので、ウシヘプシジンプロモーターを用いたヘプシジン転写解析を正当に行うためには、ウシSmadによるヘプシジン転写を検討する必要があると考え、ウシSmadの発現ベクターの構築ならびにヘプシジン転写を検討した。その結果、マウスヘプシジンプロモーターに比べてウシヘプシジンプロモーターの転写活性は弱いこと、予想外に、ウシSmad4はマウスSmad4に比べてヘプシジン転写促進能力が低いことが明らかになった。また、フェロポルチン分解を評価するための発現コンストラクトの構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した課題は概ね着実に進行している。ウシ個体からのサンプルの確保は完了し、ウシヘプシジン転写調節機構を解明するための材料はほぼ構築あるいは採集を終え、レポーターアッセイ系によるウシヘプシジン遺伝子の転写調節機構を明らかにする道筋がつけられた。
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Strategy for Future Research Activity |
血液ならびに乳サンプルの採取が終わったので、研究3年目に解析を行う。また、培養細胞を使って解析する材料の構築ならびに採材がほぼ完了したので、研究3年目にはこれらの材料を使ってヘプシジン転写調節機構の解明に取り組む。
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Research Products
(4 results)