2018 Fiscal Year Research-status Report
乳牛の亜急性ルーメンアシドーシスによる繁殖機能低下要因の解明と代謝機能改善効果
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17K08052
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大滝 忠利 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (10434101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古山 敬祐 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 農業研究本部酪農試験場, 研究職員 (50611026)
梶川 博 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90414705)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 乳牛 / ルーメン / エンドトキシン / 繁殖機能 / 肝機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、泌乳牛のルーメン内LPS濃度と繁殖機能との関係について検討した。A農場ホルスタイン種乳牛17頭、ジャージー種7頭、B農場ホルスタイン種乳牛39頭を供試し、分娩後3日、4、8、12週にルーメン液の採取、採血を実施した。ルーメン液中のVFA濃度、LPS濃度を測定し、血中血液生化学性状、LPS、IGF-1、ハプトグロビン濃度を測定した。また、分娩後に週2回採血を実施し、プロジェステロン濃度を測定した。さらに繁殖成績についても調査した。そのうち、乳量水準8000kg、粗濃比が57:43で飼養されているA農場のホルスタイン種乳牛17頭とジャージー種4頭の測定が終了した。 その結果、ルーメン内LPS濃度は個体または分娩後週数ごとにばらつきが認められ、ホルスタイン種とジャージー種でその差が大きかった。そこで、ホルスタイン種17頭のみで解析を実施し、分娩後4週時でのLPS濃度が中央値より高い群を高LPS群(n=8)とし、低い群を低LPS群(n=9)として区分し比較検討した。 その結果、分娩後4週および8週時でのIGF-1濃度は低LPS群に比べ高LPS群で有意に低く、またルーメン液中の酢酸/プロピオン酸比は高LPS群で低い傾向にあった。さらに、両群間で初回排卵日数に有意な差は認められなかったが、初回授精日数は高LPS群で有意に長かった。一方、ルーメン内LPS濃度と血中LPS濃度との間に有意な相関は認められなかった。以上のことから、濃厚飼料多給でない牛群においてもルーメン内LPS濃度の上昇が繁殖成績に影響を及ぼす可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、泌乳牛のルーメン内LPS濃度と繁殖機能の解析を予定していたが、使用していたLPS測定キットの供給が停止し、販売再開の目処が二転三転したため、解析が滞っている。現在、LPS測定について、別メーカーのものに変更し、測定条件がようやく整ってきている。サンプリングやLPS以外の測定項目については、概ね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、泌乳牛のルーメン内LPS濃度と繁殖機能との関連に重点を置いて研究を進める。まずは、変更したキットによりLPS濃度の解析を進める。その後、乳量水準や濃厚飼料の給餌方法が異なる2牛群でのルーメン内LPS濃度の違いや繁殖機能との関連について解析を進める。また、血中の炎症関連物質と急性相タンパクに関する解析、ルーメン内LPSやVFAと各種パラメーターについて、詳細に検討をしていく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究打ち合わせについては、別の用務と合わせて実施したため、片道分の支出とした。また、使用していたLPS測定キットの供給停止により購入ができなかったため次年度使用額が生じた。 次年度使用額の使用計画としては、実験に使用する消耗品の購入、研究打ち合わせのための旅費、論文投稿用の校閲料、投稿料用として使用する計画である。
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