2017 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集技術を用いたブタ妊娠メカニズムの解明と繁殖技術への応用
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17K08054
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
柏崎 直巳 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90298232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 潤哉 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (30454143)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 妊娠 / ブタ / 着床 |
Outline of Annual Research Achievements |
家畜において体外胚作製技術や移植技術等は改善されてきているが,胚移植後の妊娠率・受胎率は平均50%程度と未だ低い.本研究の目的は,ゲノム編集技術を家畜(ブタ)に応用し,ノックアウト動物を作製・解析することで『ブタにおける胚着床・妊娠維持因子を初めて明らかにし,その知見をもとに妊娠率・受胎率を向上可能な新規胚移植技術の開発に応用する』ことである.平成29年度は実験①として,Lif発現時期と組織の同定,および実験②としてノックアウト(KO)ブタ作製に必要なLif KOベクターの構築とブタ体細胞における検証について検討を行った.実験①に関しては,非妊娠および(胚が子宮内に着床すると考えられている)排卵後10日および12日の雌ブタ個体から子宮組織を採取した.採取した組織は,LIFの発現部位を明らかにする目的でパラフィン切片作製用に,また一部はqPCR用に液体窒素に保存した.また実験②に関しては,ブタLif遺伝子上でgRNAが認識するPAM配列(5'-NGG-3')を有する領域をCRISPR directを使用して候補となる特異性の高いgRNAを3種類程度設計した.設計したgRNAをベクターに組み込んだ.作製したベクターを,ブタセルトリ細胞由来であるST細胞およびブタ鼻甲介由来であるPT-K75細胞の 2種類のブタ培養細胞にトランスフェクションし,培養24および48時間後に回収した.回収した細胞からゲノムを抽出し,T7E1 assayを行うことで作製した3種類のベクター間でのゲノム編集の効率を比較した.その結果,少なくとも3種類の内1つにおいてターゲットとしたブタLIFの欠損が確認された.シークエンス解析によってもターゲット部位の欠損が確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初サンプリングが難しいと考えていた非妊娠,胚着床時期前後のブタ子宮のサンプリングに成功した.また,LIFおよびLIF受容体を認識できると考えられる市販の抗体も購入できた.さらにブタLIFをKO可能なguide RNAの作製にも成功した.今後はこれらを利用することでLIFKOブタの作製を試みる.
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Strategy for Future Research Activity |
胚着床時におけるブタ子宮のLIFおよびLIF受容体の発現を調べるため,免疫組織化学および免疫蛍光による染色を行う.また,子宮組織を用いてLIFおよびLIF受容体のウェスタンブロッティングおよびqPCRをもちいた発現変化を調べる.さらに体細胞でゲノム編集することができたguideRNAを用いてブタ胚におけるゲノム編集効率を調べる.
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Research Products
(3 results)