2017 Fiscal Year Research-status Report
Transmission patterns of wool-biting behavior in housed sheep using a social network analysis
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17K08061
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
竹田 謙一 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (90324235)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒツジ / 異常行動 / ソーシャルネットワーク分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】ヒツジの異常行動の一つである羊毛食いは、ヒツジが自身や他個体の被毛を齧り取って飲み込む行動であり、アニマルウェルフェアの視点だけでなく、生産的および、健康的にも問題となっている。羊毛食いの発現は、ある特定個体の発現をきっかけに、羊群内全体に拡大していると考えられており、ソーシャルネットワーク分析(以下、SNA)を用いることで、羊毛食いを群全体に発現させているハブ個体を見出せる可能性がある。本研究では、SNAを用いることによりハブ個体を抽出するとともに、ハブ個体及び羊毛食い最多発個体の除去により、羊群内における羊毛食い発現頻度の増減を調べた。 【方法】フライスランド種成雌ヒツジ15頭を供試した。①自動撮影カメラを用いて、1分間隔でペン内における供試ヒツジの空間分布を撮影した。後日、得られた画像から各供試ヒツジの最近接個体を記録し、各々の個体との最近接割合を算出した。行動観察は、夕方の給餌から1時間経過後、餌槽を回収し、1日あたり2時間の行動観察を計16回、延べ32時間行った。供試ヒツジの行動観察は、複数個体追跡法に従い、羊毛食い行動を連続観察し、その行動が発現したときに、実行個体とその受容個体および羊毛bite回数を記録した。そして、この行動観察データを個体除去前データとした。②羊毛食い供与回数のデータを基にSNAを行い、媒介中心性の最も高い個体をハブ個体として抽出した。そして、第1ハブ個体を除き、1日あたり2時間の行動観察を4回、延べ8時間行った。 【結果】①羊毛食いを交わした個体関係と、群内における各個体の近接関係との間に相関はなかった。②群全体の羊毛食い発現頻度は321回/日であった。除去前(207回/日)と比較して第1ハブ個体除去後における群全体の羊毛食い発現頻度に有意な変化は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ソーシャルネットワーク分析によるハブ個体の抽出には成功したので、概ね研究は順調に進んでいると考えられる。 また当初予定していなかった近接個体割合と羊毛食い発現相手との関係を調べた結果、両者に相関はなく、改めて、近接個体ではなく、特定の個体間で羊毛食いが発現している可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はハブ個体を除去したものの、群全体における羊毛食い行動の軽減には至らなかった。平成30年度には、再度、ハブ個体の除去による群全体の羊毛食い行動頻度に及ぼす影響を調べるとともに、除去したハブ個体を再導入した時の羊毛食い行動発現頻度を調べる。
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Causes of Carryover |
試験資材(当初予定していた備品を購入せず、既に所有している機器を使用)の変更により、支出を抑えたため、残金が生じた。平成30年度は平成29年度に未解決だった点についても検証するので、平成30年度分の助成金と合わせて適正に研究を実施する予定である。
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