2018 Fiscal Year Research-status Report
Transmission patterns of wool-biting behavior in housed sheep using a social network analysis
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17K08061
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
竹田 謙一 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (90324235)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒツジ / 行動 / 異常行動 / 動物福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、供試ヒツジ群における羊毛食い行動に基づくソーシャルネットワーク分析まで実施できたものの、ハブ個体の抽出後の羊毛食い行動の変化を掲示的に観察することができなかった。そこで本年度は、改めて供試ヒツジ群における羊毛食い行動を観察するとともに、ソーシャルネットワーク分析によりハブ個体を抽出、除去し、供試ヒツジ群全体における羊毛食い行動頻度の軽減効果について検討した。 フライスランド種成雌ヒツジ14頭を供試し、1つのペン(7m×3.5m)で群飼した。給餌は1日2回、群全体にトールフェスクのコンパクト乾草12kgと配合飼料2kgを与えた。羊毛食いの行動観察は、夕方の給餌から1時間経過後、飼槽を回収し、1日あたり2時間の行動観察を計3日、合計6時間行った。供試ヒツジの行動観察は、複数個体追跡法に従い、羊毛食い行動を連続観察し、その行動が発現した時に、実行個体とその受容個体を区別して、羊毛を噛みちぎったbite数を記録した。 その結果、これまでの研究とは異なり、一部の個体のみ羊毛食い行動を発現し、受容個体についても、全ての供試個体が羊毛食い行動を受けるわけではなく、14頭中10頭にとどまった。羊毛食い行動の発現頻度とその受容頻度は相関せず、それぞれにおいて顕著な個体差が認められた(P<0.05)。しかし、群全体での羊毛食い行動発現頻度はわずか0.3回/時/頭となり、前年度の実験での6.9回/時/頭を大きく下回った。その理由として、羊毛食い行動発現個体数が前年度の8頭に対して本年度は4頭だったこと、最多発個体の発現回数が昨年度は9.5回/時/頭で立ったのに対して、本年度は2.7回と少なかったことが原因と考えられた。群全体での発現頻度が少なく、本年度はソーシャルネットワーク分析に必要なデータ数を集めることができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始2年目の平成30年度は、供試ヒツジ群の出産、ならびに除籍等が多く、ソーシャルネットワーク分析に必要と考えられる供試個体数を維持できなかった。そこで新規に、民間牧場から3頭を導入し、研究を行った。 しかし、これまでの研究とは異なり羊毛食い行動未経験個体が多く、羊毛食い行動を実験的に頻発させることができなかった。 予定通りの実験はできなかったものの、これまで羊毛食い行動を多発していた個体が健康上の理由で除籍され、その結果、群全体における羊毛食い行動頻度が少なくなったことは、特記すべき事項である。 最終年度では、引き続き、羊毛食い行動を実験的に多発すべく環境整備を行うと同時に、当初予定していたソーシャルネットワーク分析によるハブ個体の抽出ならびにその個体の除籍によって、群全体における羊毛食い行動頻度が軽減させるのかについて検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
供試ヒツジ群に過度なストレスをかけることなく、引き続き、羊毛食い行動の観察を継続する。昨年12月に新規に3頭導入(いずれも羊毛食い発現個体)したことから、これらの新規導入個体が既存の群に順化できるよう飼育環境を工夫し、当初の目的を達成する。
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Research Products
(1 results)