2019 Fiscal Year Research-status Report
Does antioxidant substance concentration of dairy cows relate to the risk of mastitis?
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17K08063
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
黒川 勇三 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (00234592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小櫃 剛人 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (30194632)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グルタチオン / 抗酸化物質 / 乳牛 / 乳房炎 / 血液代謝産物 / 生存時間解析 / 分娩後日数 / 乳房炎非発症率 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度、5月から12月にかけて、23頭の乳牛を用い、123回のサンプリングを行って、血液中の抗酸化物質、血液中代謝産物、乳生産(乳量、乳成分、体細胞数)の測定を行った。 季節の影響については、2019年のデータを用いて解析し、5月、7月、8月、10月、11月で比較して、全血グルタチオン(GSH)濃度に対する季節の影響は傾向あり(P<0.1)であり、7月に最も高く、8月に最も低い値となった。血漿中ビタミンCは8月に最も低かった(P<0.05)。乳量や飼料摂取量への季節の効果は認められなかった。 分娩前後日数の影響を、2018年度のデータの一部と2019年度のデータを用いて解析し、分娩予定の3週前、1週前、分娩2週後、4週後、6週後にサンプリングして調べた。4頭について分娩前3週から分娩まで、バイパスメチオニンを給与飼料に添加した。全血中GSHで、バイパスメチオニンの添加と、分娩前後日数との間に交互作用の傾向(P<0.1)が認められ、添加区で分娩前1週に高い値を示した。 2017~2019年度の3年分のデータを用いて行った、産次、分娩後日数(DIM)、分娩月が各測定項目に及ぼす影響の解析では、ビタミンC、SCC、ALB、UAに対する産次、DIM、分娩月の効果、GSHに対する産次、分娩月の効果が有意でなかった。これらすべてにおいて、牛個体間の差が有意であった。これらの項目で、個体ごとの最小二乗平均値を用い、値の高い牛群と低い牛群に分け(50%ずつ)、生存時間解析により、乳房炎非発症率を比較した。ALBについて、血中濃度の高い牛群と低い牛群間で乳房炎非発症率に有意に差があった(P< 0.05)。全血GSH濃度の高い牛群と低い牛群間で乳房炎発症率に有意な差がある傾向であった(P<0.1)。それ以外の項目では、乳房炎非発症率に有意な差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終的な目的は、乳牛の血中抗酸化物質や代謝産物の濃度が、将来の乳房炎発症に及ぼす影響を明らかにして、乳房炎の予防対策の立案に貢献することである。その前段階として、乳牛の血中抗酸化物質や代謝産物の濃度に及ぼす、産次、分娩後日数(DIM)、分娩月の影響を分散分析により解析したところ、多くの項目で産次とDIMの影響が認められた。よって、これら項目が乳房炎発症に及ぼす影響を解析するためには、産次やDIMによって、乳房炎発症率がどのように変化するかを考慮する必要がある。 2019年度までの研究で、データ数が増加し、様々な統計処理の手法を用いることが可能となりつつある。生存時間解析でも十分に、乳房炎発症と血中抗酸化物質、特に全血中グルタチオン(GSH)濃度との関連性を見出すことができつつある。 この関連性をより明確に明らかにするためには、関連が起きるメカニズムの解析が必要であり、さらに鋭敏で、かつ血中抗酸化物質濃度以外の様々な要因を取り込むことができるモデルによる解析が必要であるため、新たなモデル構築を試みている。また、生存時間解析では、産次ごとの最初の乳房炎発症のみを解析の対象としており、再発についても、解析の対象とできるようなモデルが必要である。2019年度までは、乳房炎の再発に関わるデータを取り込んでいないため、新たなデータを取り込み、データベースの再整備が必要である。 上述のモデル改善により、血液中代謝産物中濃度、肝機能指標等と、乳房炎発症との関連性の解析をより充実できる可能性があり、統計解析の結果を見て、新たなデータの採取も検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、生存時間解析の手法により、全血中グルタチオン(GSH)と乳房炎発症の関連性が、明らかになりつつあると考えている。また、分散分析により、GSHに対する、分娩後日数(DIM)の効果が有意となっている。これらの事実に基づいて、乳房炎発症に対して、DIMが及ぼす影響について、再発も含めて検討する。このためには、新たなモデルによる統計解析が必要になるが、2020年度の早い時期に新たなモデルを構築しつつ、さらに例数を増やして、血中抗酸化物質濃度と乳房炎発症との関連性について明確な結論を得るための、統計解析を実施する。 加えて、産次とDIMはすでに分娩をし、泌乳を開始した乳牛の「泌乳ステージ」の指標であるが、これをさらに拡大して、乳牛の育成時期のステージ(妊娠、初産など)、およびその生後日数が、GSHを含む血中抗酸化物質濃度に及ぼす影響についても、新たなサンプリング対象として加え、データを解析する。この方向性は、育成から、初産、分娩、乾乳、次の産次といったステージの進行に伴って、血液中抗酸化物質濃度がどう変化し、乳房炎発症とどう関連するかを明らかにする端緒となると考えられる。 以上のことから、2020年度には、これまで通りの泌乳中の乳牛からの試料採取も実施するが、乾乳期や初産前の乳牛からのサンプリングを増やして、乳牛のライフサイクルを通じたデータベースを充実させる。そのうえで、血液中GSHの個体差がどのステージから現れて、将来の乳房炎発症と関連するかの解析に用いることができるかを検討する。また、どの時期に、どの程度の血中GSHを有する乳牛が、乳房炎発症のリスクが高いかを検討する。これらの検討結果を総合して、血中抗酸化物質濃度と乳房炎発症との関連性について結論を得る。
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Causes of Carryover |
購入した消耗品の金額が、予定した金額より少なかったため。2020年度の消耗品費として使用する。
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Research Products
(1 results)