2017 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of novel testicular toxicity evaluation system using medaka
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17K08078
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
杉山 晶彦 鳥取大学, 農学部, 准教授 (00432609)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | カドミウム / メトトレキサート / メダカ / 精巣 / アポトーシス / p53遺伝子 / 細胞増殖活性低下 |
Outline of Annual Research Achievements |
精巣毒性物質であるカドミウムおよびメトトレキサート (MTX)の曝露がメダカ成魚の精巣に及ぼす影響を解析した。[カドミウム曝露実験] 10ppmカドミウムを野生型メダカに曝露したところ、曝露開始後96時間までに精巣の精原細胞および精母細胞に顕著なpyknotic changesが誘発された。当該pyknotic cellはTUNEL染色およびcleaved caspase-3を一次抗体とした免疫組織化学染色に陽性を示したことから、apoptosisであることが判明した。カドミウム曝露を受けたメダカの精原細胞および精母細胞の細胞増殖活性には曝露による影響は認められなかった。[MTX曝露実験] 0.25mg/ml MTXを野生型メダカに曝露したところ、曝露開始後96時間までに精巣の精原細胞および精母細胞に顕著なapoptosisが誘発された。一方、p53遺伝子ホモ欠損型メダカ群の精原細胞および精母細胞にはMTX曝露によるapoptosisの誘発は認められなかった。MTX曝露を受けた野生型およびp53遺伝子ホモ欠損型メダカの精原細胞および精母細胞の細胞増殖活性はともに有意に低下したが、MTX曝露p53遺伝子ホモ欠損型メダカ群とMTX曝露野生型メダカとの間には有意差は認められなかった。本研究により、メダカの精原細胞および精母細胞はカドミウムおよびMTXに高い感受性を示し、曝露開始後96時間までにapoptosisや細胞増殖活性の低下などの変化が誘発されることが示された。また、MTX曝露実験の結果により、本研究での曝露条件下 (MTX濃度: 0.25 mg/ml、曝露時間: 96時間)では、MTXによる細胞増殖活性抑制は主にp53遺伝子非依存性経路、apoptosisはp53遺伝子依存性経路によって惹起された可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究により、メダカ成魚の精原細胞および精母細胞はカドミウムおよびメトトレキサートに対し高い感受性を示し、げっ歯類と同様の病理組織学的変化を呈することが明らかとなった。しかしながら、当初計画していた他の精巣毒性物質 (フルオロ酢酸、ニトロベンゼン)に関しては、曝露によってメダカ精巣における病理組織学的変化を誘発することができず、解析を進めることが不可能であった。また、当初の計画では、メダカにおいて精巣病変を誘発した精巣毒性物質の血液中および精巣組織中濃度の測定を実施し、げっ歯類における濃度と比較することにより、メダカとげっ歯類における精巣毒性物質に対する感受性を比較検討する予定であったが、今年度は実施することが不可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、メダカにおいて精巣病変を誘発するカドミウムおよびメトトレキサートの血液中および精巣組織中濃度を液体クロマトグラフ質量分析法にて測定する。メダカにおける精巣毒性誘発濃度とげっ歯類における精巣毒性誘発濃度を比較することにより、メダカとげっ歯類における精巣毒性物質に対する感受性を比較検討する。また、精巣構成細胞特異的因子 (精子細胞:TP1, TP2, 精母細胞:TH2B, P19, 精原細胞:Oct3/4, セルトリ細胞:FSHR, ライディッヒ細胞:LHR)およびアポトーシス関連因子 (Bax, Bad, Bid, Bik, Bim, Bcl-2, Bcl-XL, Fas)の発現動態を経時的に定量解析することにより、当該メダカ精巣障害の発症・進展機構における当該因子発現の意義を解明する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、メダカにおいて精巣病変を誘発した精巣毒性物質の血液中および精巣組織中濃度を測定し、げっ歯類における濃度と比較する実験も併せて実施する予定であったが、今年度は研究に遅れが生じ当該実験を実施することができなかったため次年度使用額が生じた。当該実験は平成31年度に実施する。
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