2019 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of novel culture method of canine intestinal organoid and development of organoid library
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17K08092
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大田 寛 北海道大学, 獣医学研究院, 講師 (50431333)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 犬 / 消化管 / オルガノイド / 3次元培養 / ミニチュア・ダックスフンド / 炎症性結直腸ポリープ / 一塩基多型 / 蛋白喪失性腸症 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず初めに、健常犬の結腸の内視鏡生検組織を用いて、犬の結腸オルガノイドの培養手法の確立を目指した。健常犬の結腸より内視鏡を用いて生検組織(1つあたり10mg程度)を5つ程度採取し、それを材料として結腸粘膜基部に存在する幹細胞を含む腸陰窩の分離を試みた。その結果、幹細胞を含む腸陰窩の分離に成功したため、それを材料として結腸オルガノイドの培養を試みた。その結果、培養開始後5日間ほど生存ならびに成長可能な犬結腸オルガノイドの培養に成功した。同様の手法を用いて、消化器疾患の犬の臨床例の消化管生検サンプル由来のオルガノイドの培養も試みた。現在までに、日本のミニチュア(M)・ダックスフンドに好発する炎症性結直腸ポリープの3症例の結腸オルガノイドならびに結腸腺癌の2症例の病変部組織由来のオルガノイドの作成と凍結保存を行った。 上記の様に結腸オルガノイド作成の対象疾患としたM・ダックスフンドの炎症性結直腸ポリープは、犬種特異的な炎症性疾患として国内で広く知られている。炎症性結直腸ポリープ症例の病変部では、結腸上皮杯細胞の増殖が病理組織学的変化の特徴の一つとして知られている。そのため、炎症性結直腸ポリープを発症する個体の遺伝的な背景が杯細胞の増殖の一因である可能性を考え、炎症性結直腸ポリープを発症したM・ダックスフンドに特異的な一遺伝子多型の網羅的な探索を実施した。その結果、現在までに24の候補遺伝子が同定された。24遺伝子のいずれかの遺伝子の多型が、炎症性結直腸ポリープ症例由来の結腸オルガノイドの形成する3次元構造に影響する可能性が示唆された。 加えて、犬の炎症性腸疾患に関して臨床的な解析を行った。犬の炎症性腸疾患では、持続する炎症に伴う腸粘膜の障害により蛋白質の吸収不良を生じて蛋白喪失性腸症を発症する。本研究の一部として蛋白喪失性腸症の症例犬で手作り超低脂肪食が適応となる条件を明らかにした。
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