2017 Fiscal Year Research-status Report
難治性犬移行上皮癌に対するNSAIDs治療における腫瘍随伴マクロファージの関連性
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17K08093
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
星野 有希 岩手大学, 農学部, 准教授 (80523323)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マクロファージ / CD11b / 犬 |
Outline of Annual Research Achievements |
健常犬より末梢血を採取し、比重遠心法にて末梢血単核球細胞を回収し、プラスチック付着法、MACS法およびFACS法の3つの方法により単球を分離した。回収した細胞数をカウントし、フローサイトメトリー解析により単球の純度を算出した。なお、MACS法には抗CD14抗体および磁気マイクロビーズにより標識された二次抗体を用いて磁気を利用したポジティブセレクションにてCD14陽性細胞のみを回収した。プラスチック付着法、MACS法およびFACS法を比較したところ、回収効率が最も高かった方法はMACS法であった。 続いて、MACSにより分離した単球を用いて増殖因子を加えない犬および牛血清加培地にて分化培養を試みた。培養5日目に顕微鏡下にて形態の変化を観察し、さらにフローサイトメトリーによりマクロファージのマーカーであるCD11b抗原の発現量変化を解析した。牛血清ではほとんどが死に浮遊していたが、犬血清による培養では大型で底面に付着するマクロファージ様の細胞が多数観察された。また、培養後においてCD11b陽性細胞率およびCD11b発現量の上昇が確認された。以上の結果より分化培養後の細胞をマクロファージとみなした。 ついで、単球より分化させたマクロファージの上に、液性因子のみによる相互作用が可能なセルカルチャーインサートを設置し、インサート内に犬乳腺癌細胞株を加え24時間の共培養後にマクロファージのRNAを抽出した。腫瘍の悪性化に関与するとされる因子のmRNA発現量について、マクロファージの単培養を対照に相対定量を行った。実施した3頭の犬由来のマクロファージすべてにおいて、対照と比べ共培養したマクロファージのMMP9mRNAの発現量が増加する傾向が認められた。なお、VEGF遺伝子について同様の傾向は認められず、また、IL-10およびTNFαに関しては単培養、共培養共に検出限界以下であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
北海道大学からの異動により研究環境が大きく変わり、研究体制を整えるところから行っているため研究の遂行が遅れている。また、マクロファージに発現している遺伝子の検出にやや手間取っている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究環境の整備を行う。また所属する岩手大学附属動物病院の症例数では予後調査が難しいため、一時保留とし、細胞関係の実験を進めていくこととする。
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Causes of Carryover |
本施設のオートクレーブが古いため、オートクレーブの購入を検討している。また細かい備品が欠如しているため適宜補充していく。
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