2019 Fiscal Year Research-status Report
ペンギンのアスペルギルス症の早期診断と感染制御法の開発
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17K08095
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 めぐみ 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (50390852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 一孝 麻布大学, 獣医学部, 教授 (80292093)
豊留 孝仁 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (90422245)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ペンギン / アスペルギルス / CT / 環境検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も引き続き、ペンギンを飼育する水族館において年4回の血液検査を実施し、アスペルギルス抗原、アスペルギルス抗体またはタンパク質分画 異常のいずれかを示した4個体についてCT検査を行った。これらの個体の呼吸器に異常は認められなかった。前年度のCT検査で肺に浸潤像が認められたため抗真菌薬を投与し、経過観察としていた1羽は、3か月毎の経過観察において、肺の浸潤像が縮小し嚢胞化が進行していた。これまで多くの個体で認められてきた嚢胞は、肺の浸潤像が改善した所見である可能性が示唆された。また、CT検査の際、これまで麻酔に伴う呼吸抑制が懸念されていたが、鎮静剤投与下で保定法を改善することで、無麻酔のCT撮影が可能となった。 環境検査についても前年度に引き続き年4回のサンプリングを継続した。今年度は前年度の地震発生直とは異なり、アスペルギルスが多く検出されることはなかった。通常の空調管理および清掃作業の継続が重要であった。 本研究においてアスペルギルスが検出された死亡個体の死後CT検査に関する論文Autopsy imaging for aspergillosis in King Penguin, an economically valuable zoo animalがJ. Vet, Med. Sci. 82(3)に掲載された。肺の浸潤像とアスペルギルス症との関連、CT検査の有用性について、第162回日本獣医学会学術集会において口頭発表した。また、同内容について論文投稿中である。環境検査の実施により、アスペルギルスを検出し、検出箇所でのパレードの中止や飼育場所の消毒清掃によるアスペルギルス症の低減策についても論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水族館の獣医師および飼育員、水族館近隣の動物病院および医院の協力のもと、ペンギンの血液検査、異常個体のCT検査、環境検査を当初の予定どおり実施できている。これら のデータから血中アスペルギルス抗原、CTによる異常所見、環境中アスペルギルスが検出されているものの、ペンギンの死亡は0羽である。また、論文1報、口頭発表1件、投稿中論文2報と研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きペンギンの定期血液検査、CT検査および環境検査を継続する。アスペルギルス症の早期診断指標およびペンギンをアスペルギルスに暴露させない飼養管理法の確立に向け、更なるデータ蓄積を行う。また、無麻酔でのペンギンのCT撮影法の検討、現在検査を実施している水族館以外でのデータ収集についても検討する。
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Causes of Carryover |
3月に実施したCT検査の出張を別経費から支出したため残額が生じた。来年度実施予定のCT検査の旅費として使用する。
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