2017 Fiscal Year Research-status Report
犬における心不全による膵炎発現のメカニズムの解明と新規の治療法の確立
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17K08100
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
福島 隆治 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10466922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 海織 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (50588960)
岩永 朋子 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 特任助教 (60713287)
三浦 直樹 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 准教授 (80508036)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膵炎 / 犬 / 心不全 / 頻拍モデル / 心拍出量 / 臓器血流量 / CT灌流画像法 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度は、(1)「犬における膵臓の血流評価のための手法確立 CT灌流画像法(Perfusion CT)を用いた膵炎症例の膵血流計測法を確立する。」という目標があった。共同研究者による過去の腎臓血流評価に対する報告と同様のプロトコールの使用が、膵臓血流に対しても十分に応用可能であることが判明した。また、心不全モデルによって膵炎が惹起されるかどうかの判断の際に、複数回の全身麻酔(Perfusion CTの実施)が必要となる。そのため、麻酔処置による研究への負の影響を除去するため麻酔方法も新たに確立する必要があった。イソフルレンの吸入麻酔やプロポフォールの静脈内麻酔よりもアルファキサロンの方が循環動態への影響が少ないことが判明した。これらの結果により、膵臓に負担の少ないperfusion CT検査方法を確立できた。 (2)「心不全モデル犬における膵臓の血流と血栓形成能の経時的変化の評価を行う。」という目標があった。心房刺激モデルよりも心室刺激モデルの方が、心拍出量の低下、全身血圧の低下、そして心臓の形態変化が大きく認められた。よって本研究には心室刺激モデルが適していると判明した。また、3週間の心臓刺激と5週間の心臓刺激を比較したところ、5週間の心臓刺激がより心不全状態を再現できることから、本研究の心臓刺激のプロトコールを5週間に変更する予定となった。さらに、 (3)(3) 「心不全モデル犬における心不全前後の膵臓の病理学的評価 (2)と同一個体を利用し、高頻度心房刺激前と刺激後における膵臓の虚血性あるいは/および血栓性の病変の有無 を肉眼的そして顕微鏡学的に評価する。」という目標もあった。膵臓は物理的な刺激でも膵炎が引き起こされる恐れがあったが、生検前後での膵臓の超音波検査像、および膵炎バイオマーカーによる判断では、部分切除による膵炎の誘発が生じないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要に述べた部分の研究発表や論文化ができていない。また、本年度の研究パートの大部分が共同研究者主体の研究(Perfusion CT)であったため、そのペースに合わせざるを得なかった。 また、所属機関内での配属替えの影響でわずかな期間であるが研究が行えない期間が存在した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況に述べた、「やや遅れている」に関して、H30年度はH29年度の結果を利用することで、研究の遅れを十分に取り戻すことが可能である。
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Causes of Carryover |
当該研究における研究費の使用計画に則って、適切な予算管理を行ったが172円の差額が生じてしまった。翌年度にこれを上乗せし文房具をはじめとした物品費として計上する予定である。
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