2018 Fiscal Year Research-status Report
Studies on the mechanisms that cholesterol exerts its therapeutic effects on boar spermatozoa affected with summer infertility
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17K08103
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
村瀬 哲磨 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (30303514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原山 洋 神戸大学, 農学研究科, 教授 (30281140)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ブタ / 精子 / 人工授精 / 夏季不妊症 / 先体反応 / ハイパーアクチベーション / cAMP / ジアシルグリセロール |
Outline of Annual Research Achievements |
豚の夏季不妊症では,夏季に精子の受精能獲得が時期尚早に発現し,タイムリーに受精に関与できなくなることにより受胎性が低下することが示唆されている.先行研究では,精液の冷蔵保存中にコレステロールを添加することにより,時期尚早の受精能獲得発現を減少させることが示されているが,その機序が未解明であったので,本研究では,この解明を目的としている.昨年度は保存後カルシウムイオノホアにより誘起した先体反応進行中におけるシグナル分子である cAMP とジアシルグリセロール(DAG)の変化を解析していたが,シグナル分子として DAG の分離と定量を行ったところ,未知のバンドが検出されたので,分離方法の再検討を行った.本年度は,分離方法(展開溶媒及び展開方法)を改善し問題を解決した. 一方,豚精子の夏季における時期尚早の受精能獲得を緩和する目的で,コレステロール以外の物質を検討した結果,硫酸マグネシウムあるいは塩化マグネシウムを保存中あるいは保存後洗浄した精子へ添加した場合,カルシウムイオノホアにより誘起された先体反応を遅延させることが明らかになった.また,同様に受精能獲得を遅延させることのできる物質の候補としてカルモジュリンやタンパクキナーゼCの阻害剤であるポリミキシンBを保存中あるいは保存後洗浄した精子へ添加した結果,カルシウムイオノホアにより誘起された先体反応は逆に増強された. 本年度は cAMP アナログである cBiMPS により誘起したハイパーアクチベーションへ及ぼす保存中のコレステロール添加の影響に関する検討目的としていたが,比較の目的で牛凍結融解精子を用いて,cBiMPS によるハイパーアクチベーション誘起を行ったところ,誘起率が低い個体の存在することが明らかとなった.このことから,豚精子のハイパーアクチベーション誘起においてサンプル間の差を考慮に入れる必要があると思われた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
豚コレラの発生により採材をお願いしている種豚場さんへ入場できないため.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,遅れている実験,1)先体反応誘起中におけるcAMPとDAG生成量の測定,2)ハイパーアクチベーション誘起へ及ぼす保存中コレステロール添加の効果の解析,3)保存中精液へのコレステロールの添加が及ぼす保存後の精子による体外受精能力の解析,を実施する. 豚コレラの発生が少しでも減少すれば,採材をお願いしている種豚場(富士農場ザービス)へ訪問して材料採取を行う予定である.まだ,発生が収まらず,入場の自粛が必要であれば,富士農場サービスへサンプリングと材料の発送をお願いする予定である.
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