2017 Fiscal Year Research-status Report
犬における糞便マイクロバイオーム解析を活用した新規肥満治療の検討
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17K08111
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
森 昭博 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (60549559)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マイクロバイオーム / 糞便 / 犬 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、腸内マイクロバイオームは健康や寿命、疾患と関係すると考えられている。食事は腸内マイクロバイオームに大きな影響を与えるものの1つである。しかし、市販フードが腸内マイクロバイオームに与える影響についての報告はない。そこで平成29年度は、健常犬における市販の体重減量用療法食の給与が糞便のマイクロバイオームに与える影響の検討ということで、ロイヤルカナン社の満腹感サポートを6頭に給与した。それ以外にも、ロイヤルカナン社の腎臓サポート、消化器サポート低脂肪およびアミノペプチドフォーミュラを健常犬6頭にそれぞれ給与しそれぞれのフードを与えてから3週間後の糞便マイクロバイオームを解析した。糞便からDNAを抽出し、タカラバイオ社に解析を依頼した。結果として、糞便マイクロバイオームは、主にActinobacteria、Bacteroidetes、Firmicutes、FusobacteriaおよびProteobacteriaの5門で構成されており、過去の報告とも一致した。4つのフード間で特徴的な変化を示したのは、アミノペプチドフォーミュラと満腹感サポートであった。これらの変化は、腸内に流入するタンパク質および繊維の量の違いよるものだと考えられ、脂肪や糖質はそれほど大きな影響を与えなかった。多様性指数においてもアミノペプチドフォーミュラ給与群のみやや低い傾向が認められ、腸への流入タンパク質が減少したことにより菌種数が減少した可能性が考えられた。以上のことより、これらのフードは犬の糞便マイクロバイオームに影響を与え、特にタンパク質および繊維の含有量が大きな影響を与える可能性が考えられた。これらの結果を論文にまとめ現在学術雑誌に投稿準備予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究室内の健常犬における研究がスムーズに行えた。今後は家庭犬を用いてさらなる検討を行っていくため、食事を食べなかったり投薬ができなかったりすることも考えられるため、対応していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
腸内マイクロバイオームは疾患とも関係があり、ヒトではプレバイオティクスやプロバイオティクスを疾患の予防や治療に用いている。獣医医療においてプレバイオティクスやプロバイオティクスを治療に用いる場合、家庭犬が対象になると考えられるが、家庭犬を対象にした糞便マイクロバイオームの研究は殆どない。また、腸内マイクロバイオームは遺伝的背景や生活環境などにも影響を受けるため家庭犬では多様化している可能性がある。そこで、今後は家庭犬を対象とし、フードの違いやそこにプレバイオティクスやプロバイオティクスを添加することで糞便マイクロバイオームにどのような影響があるか検討を行っていく。
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