2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K08134
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
岸上 哲士 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10291064)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞小器官 / 胚の発生 / 哺乳類 / 発生工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では胚の細胞小器官の機能と発生能の関係に着目し、マウスの受精胚の体外培養において薬剤による細胞小器官の機能変化を誘導し発生におよぼす影響を明らかにし、これらの結果をもとに体外培養において細胞小器官の機能の最適化を行うことで胚の発生能を最大限に引き出す「機能性胚培養液」の開発を行うものである。これまで胚の体外培養は小胞体ストレスを引き起こすことが知られているが、そのストレス抑制の最適な条件は十分明らかでなかった。そこで1年目である平成29年度は、体外成熟(IVM)由来胚を用いて小胞体ストレス抑制効果が知られている化学シャペロンTUDCA(タウロウルソデオキシコール酸)の最適処理濃度と処理時間を検討し、胚の発生に最適な条件を見出すことができ、出産率を向上させることに成功した。具体的には、裸化した卵子の体外成熟および体外受精、体外培養において、TUDCAは体外成熟後に処理することがもっとも効果的であり、また従来用いられていなかった1000uMという高濃度が胚の発生で有効であることを発見した。胚に適した有効濃度の新たな発見は、この試薬を用いて胚の発生を改善する上で不可欠であると考えられる。さらに、この方法により培養した後に、偽妊娠マウスに胚移植を行った結果産子率が向上することが明らかとなった。以上の結果から、化学シャペロン添加による培養が体外成熟卵由来胚の産子作出に有効であることおよび最適な処理条件を示すことができた。今後、さらに安全性などの研究を進めることでこの薬剤および処理方法を用いた産子作出技術の実用と普及へと発展することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胚の発生率改善にむけて、化学シャペロンを用いた胚の機能改善に成功したことから、本研究課題の目的に沿って順調に研究成果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の30年度においては、引き続き小胞体に加えて他の細胞小器官の機能最適化による胚の発生率にむけて機能性培養液の開発をおこなっていく予定である。
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