2018 Fiscal Year Research-status Report
精子幹細胞における活性化酸素産生の転写制御機構の解明
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17K08136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 裕子 京都大学, 医学研究科, 助教 (90540097)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 活性酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
精子幹細胞は精子の源となる細胞である。活性酸素(ROS)は生殖細胞に悪影響を及ぼすと考えられてきたが最近我々はNox1遺伝子によるROS産生が精子幹細胞の自己複製分裂に必要であることを見出した。本研究では精子幹細胞におけるROSがどのようなシグナル伝達を行い自己複製を促進するのかを解明することを目的とする。 本年度は当初の計画通りNox1制御シグナルの同定を実施した。以前の我々の報告でp38MapkのinhibitorであるSB203580によりGS細胞の増殖が制御されNox1の発現が低下する事を見出した。これまでにp38 MapkがGS細胞におけるNox1の発現およびROSの発生に必要である事は判明しているが我々の予備実験では活性型p38 Mapkの強制発現のみではROS産生およびNox1の発現には十分でないという結果を得ていた。この為、p38 Mapkと協調して働く分子が存在してGS細胞のNox1遺伝子によるROS産生を促進していると予想した。この予想に基づき、p38 Mapkと協調してROS産生およびNox1遺伝子の発現に必要な分子のスクリーニングを実施しBcl6b遺伝子を同定した。更にBcl6b遺伝子が実際にNox1遺伝子の発現抑制を引き起こすかどうかを調べる為にRealtime PCR法により確認を行いshRNAを用いてGS細胞におけるROS産生及びNox1遺伝子の発現誘導に及ぼす影響を解析した。これまでの結果を論文にて発表した。Life Sci Alliance. 2019 Apr 2;2(2). pii:e201900374. doi: 10.26508/lsa.201900374. Print 2019 Apr.ROS amplification drives mouse spermatogonial stem cell self-renewal.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は実施計画通りに進捗した。p38 Mapkと協調してROS産生およびNox1遺伝子の発現に必要な分子のスクリーニングを実施しBcl6b遺伝子を同定した。具体的には以下の4項目について実験を行った。①p38alpha KO GSと野生型GSのマイクロアレイ②p38alpha KO GSと野生型GSのRNAシーケンス③Bcl6b遺伝子をOE/KDした野生型GSでのROS産生④p38alpha遺伝子をOE/KOした野生型GSでの免疫染色⑤Bcl6b遺伝子をOE/KDした野生型GSでNox1遺伝子の発現誘導に及ぼす影響解析
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度計画 : GS細胞におけるミトコンドリア由来ROSの影響の解析 ROSはミトコンドリアからも産生されておりNox1由来のROSがどの程度GS細胞の自己複製に影響があるかは明らかになっていない。Nox遺伝子がどの程度GS細胞におけるROS産生に寄与するかを明らかにする為、Nox1分子を導入しROSの再構成実験を行い、通常のサイトカインによりGS細胞の増殖誘導を試みた場合と比較する。Noxと複合体を形成する遺伝子の発現誘導をrealtime PCRにより確認し、誘導されてきた遺伝子をNox1と共にGS細胞へ導入し自己複製因子のない状態でのROS産生を再構成する事でROS産生に必要な最低限の制御因子を同定する。更にミトコンドリア由来ROSを特異的に染色する蛍光分子を用いて①自己複製刺激時にどの程度ミトコンドリア由来ROSが発生するか、②Nox遺伝子を強制発現時にどの程度ミトコンドリアのROSに影響するのかを検討する。更に③ミトコンドリアに局在するカタラーゼをGS細胞に発現させ、ミトコンドリアのROS産生を抑制し精子幹細胞の自己複製がどの程度影響を受けるのかを確認する。
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Causes of Carryover |
海外に発注した試薬の納品に遅れが生じた為。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] ROS amplification drives mouse spermatogonial stem cell self-renewal.2019
Author(s)
Morimoto H, Kanastu-Shinohara M, Ogonuki N, Kamimura S, Ogura A, Yabe-Nishimura C, Mori Y, Morimoto T, Watanabe S, Otsu K, Yamamoto T, Shinohara T.
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Journal Title
Life Sci Alliance.
Volume: Apr 2;2(2).
Pages: e201900374.
DOI
Peer Reviewed
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