2017 Fiscal Year Research-status Report
皮膚アレルギーの病態をコントロールするスフィンゴ脂質の役割に関する基礎的研究
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17K08140
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
山下 匡 麻布大学, 獣医学部, 教授 (30220338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永根 大幹 麻布大学, 獣医学部, 助教 (10772064)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遺伝子改変マウス / アトピー性皮膚炎 / アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
スフィンゴ脂質欠損マウス(GM3S-KO)を用い、① 骨髄移植後、アレルゲン軟膏を塗布し、発症および組織学・生化学的に解析。② アレルギー誘発後の皮膚透過性と炎症に関わるシグナル解析。③ マクロファージ、T/B 細胞、肥満細胞を用いたに炎症反応への応答性の解析。④ 質量分析によるアレルギー関連脂質分子の同定、それら分子を用いた培養細胞およびin vivoにおけるアレルギー抑制効果の検証を行うことが、申請全期間内での計画である。
平成29年度は、以下の2つの項目について実施した。 ① GM3S-KO 骨髄キメラマウスにおけるアレルギー反応の解析:WT マウス・GM3S-KO マウスより骨髄細胞を採取し、野生型マウス・GM3S-KO マウスにそれぞれ移植する。その後、コナヒョウダニ由来アレルゲン軟膏を塗布し、骨髄移植後のアレルギー炎症反応の差違を臨床スコアの計測、免疫組織学手法によるヒスタミン細胞、好中球を確認した。生化学的には、スフィンゴ脂質を合成する各種酵素のmRNA の定量的解析および酵素量の解析、血清ヒスタミン、IgE 量等を定量し、免疫系細胞に関わるアレルギー反応とGM3の役割を明らかにした。② 皮膚バリア機能におけるGM3 の機能解析:皮膚線維芽細胞に注目して解析を実施するため初代培養系を樹立した。この皮膚線維芽細胞を用いて、炎症シグナルへの応答性を生化学・分子生物学的手法を用いて解析した。肥満細胞にかんしては、これ放出されるケミカルメディエーターのうち、特にヒスタミンの放出に差異が観察され、スフィンゴ脂質欠損がヒスタミン放出に及ぼすことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度計画した項目に関しては、概ね順調に結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
GM3S-KO 骨髄細胞における分子シグナル解析 これまでの先行研究の結果、GM3S-KO マウスより採取した骨髄細胞から肥満細胞に分化誘導した細胞において、エキソサイトーシスの亢進、それに伴う形態学的な変化が確認されている(未発表)。まず、肥満細胞におけるエキソサイトーシスの亢進が何に起因するものか、そのメカニズムの詳細を明らかにする。次に、マクロファージ、T/B 細胞、肥満細胞の炎症反応への応答性を生化学的に解析する。つまり、マクロファージでは、アラキドン酸代謝物(プロスタグランジン、ロイコトリエン等)や活性酸素(O2、H2O2等)、サイトカイン、ケモカインの産生を、T/B細胞では、主に炎症性サイトカイン(IFN-γ、TNF-α等)を、肥満細胞では、活性酸素、ヒスタミンの産生を確認する。これら分子を解析することで、炎症シグナルとして重要な役割を果たしている分子を見極め、スフィンゴ脂質との関連を明らかにする予定である。
GM3S-KO マウスにおける脂質解析と脂質ミセルによる実験的アレルギー治療 上記項目で同定された細胞においてWTとGM3S-KOの脂質をLC-MS を用いて解析する。その後、WT とKO において差違のあった脂質分子をミセル化し、最初は初代培養細胞を用いて、その効果を検証する。続いて、GM3S-KO マウスに同様に脂質を処理しアレルゲン塗布後の炎症が抑制されるか検討する予定である。。
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Causes of Carryover |
次年度使用額相当分は、消耗品費として支出する。
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