2018 Fiscal Year Research-status Report
免疫不全ブタを用いたブタ自然リンパ球の同定と機能解析
Project/Area Number |
17K08143
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
鈴木 俊一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主任研究員 (90391581)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インターロイキン / 自然リンパ球 / ブレビバチルス菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、ブタ自然リンパ球(ILC)の刺激・同定に用いる各種ブタインターロイキン(IL)の合成および精製とその活性の確認を行った。ブレビバチルス菌を用いて作成したIL-18 およびIL-25は活性が十分ではなかったため、CHO/K1細胞を用いた哺乳類細胞培養系による合成とFLAGタグによる精製を試み、回収に成功した。さらに、IL-18 については、KG1細胞におけるIFNγ発現誘導、IL-25についてはIL-25受容体を導入した293細胞におけるNFκB転写活性の誘導が各々確認され、回収した両ILが活性を持つことが示された。 IL-33については、ブレビバチルス菌を用いて合成し、Hisタグに対するアフィニティカラム・イオン交換カラムを用いた精製を行った。さらに、IL-33受容体を発現する293細胞におけるNFκB転写活性の誘導が確認され、回収したIL-33が活性を持つことが示された。前年度、CHO/K1細胞での合成・回収の系を確立したIL-12、IL-23と合わせ、計画した5種類のILを使用した解析を行う準備が整った。 一方で、野性型ブタを用いて、ILCに相当する細胞が存在するかどうかを確認するため、FACS解析の条件検討を実施した。他種における知見をもとに、分化細胞マーカー(CD3, CD8, CD14, CD16, CD21)陰性画分(lin-)のうち、T-bet陽性の画分がILC1、GATA3陽性の画分がILC2、RORγt陽性の画分がILC3に相当すると考え、末梢血およびリンパ節・脾臓・肺由来の血球系細胞でその有無を検討した。その結果、末梢血および各組織中において、少数ではあるが、ILC1~3の存在を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各種インターロイキンの合成および精製に計画以上の時間を要したが、今年度までに準備は完了した。ボトルネックが解消したため、今後は研究の進展の加速化が可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
野性型およびRAG2ノックアウトブタを用いて、末梢血および各組織中における自然リンパ球の存在態様について、詳細なFACS解析を進める。 さらに、分化マーカー陰性の細胞を回収し、各インターロイキンでの刺激を行い、応答性・機能性の確認および応答した細胞の単離を実施する。
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Causes of Carryover |
研究計画の進行がやや遅れ、ブタ自然リンパ球の単離や機能解析に関わる実験への着手が次年度に繰り越しとなった。これらの実施に必要な各種ELISAキット、増殖細胞をラベルする試薬および各種抗体の購入を予定している。
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