2017 Fiscal Year Research-status Report
Accumulation and re-mobilization of photosynthetic assimilates and their digestibility in ruminants in rice for fodder grown in large-scale farms
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17K08168
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
関谷 信人 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (80456590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 誠 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (50432175)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 飼料イネ / 発酵粗飼料 / 非構造性炭水化物 / 窒素施肥 |
Outline of Annual Research Achievements |
飼料イネの大規模生産が拡大している.籾数を極端に少なくした飼料イネ専用品種では,茎に糖やデンプンなどの非構造性炭水化物(NSC)が蓄積しやすい.糖は乳酸菌のエネルギー源として嫌気発酵を促し,デンプンは濃厚飼料を一部代替することが期待される.栽培環境を制御することで茎に蓄積するNSC含量を増加できれば,イネ発酵粗飼料の価値を高めることが可能かもしれない.本年度は,飼料イネ専用品種の「たちすずか」「たちあやか」と,それぞれの親品種で籾数が多いクサノホシとホシアオバを異なる窒素施肥法(基肥区,分割区)で栽培した.クサノホシとホシアオバでは,茎のNSC含量が出穂期で最大となり,出穂後15週目まで減少し続けた.この間,穂のNSC含量が増加し続けており,茎のNSCが穂へ再転流したことを示唆している.一方,「たちすずか」と「たちあやか」では,茎のNSC含量が出穂期以降も増加し続け,出穂後8週目で最大となり,15週目でやや減少した.また,全品種の籾数が基肥区よりも分割区で増加し,茎のNSC含量が分割区よりも基肥区で増加した.以上から,籾数が少ない「たちすずか」と「たちあやか」では,出穂後にも光合成産物が茎へ転流し,NSCの蓄積量は大幅な刈遅れ時期である出穂後8週目で最大となることが明らかになった.また,施肥法により籾数を少なくすることで,茎に蓄積するNSC含量を増加できることも明らかになった.これらの結果は,窒素施肥法と収穫時期を制御することで,イネ発酵粗飼料の価値を高められる可能性を示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
<各種栽培要因により栽培した飼料イネのデンプン含量測定> 平成29年度には,窒素施肥法と収穫時期が飼料イネ専用品種の体内における非構造性炭水化物(NSC)の挙動に与える影響を明らかにした.今後は,移植時期や栽植密度など,その他の栽培要因がNSCの挙動に与える影響について調査しなければならない. <大規模法人における飼料イネ栽培様式の類型化> 36か所の大規模法人から飼料イネを収集し,NSCを含めた各種成分を測定した.また,各法人の飼料イネ栽培様式に関する情報も入手した.成分測定値や栽培情報を分析した結果,栽培様式の類型化には,より詳細な情報が必要であることも明らかになった. <各種栽培要因により栽培した飼料イネの消化性測定> ヒツジを用いて学内の水田で栽培した飼料イネと生産法人から採取した飼料イネの消化性測定を開始した.
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Strategy for Future Research Activity |
<各種栽培要因により栽培した飼料イネのデンプン含量測定> 研究計画時に想定していた複数の栽培要因の中から,検討すべき要因を少数に絞り込んでいく.具体的には,大規模法人における飼料イネ栽培様式の調査で重要性が明らかになった移植時期や栽植密度などに焦点を当てる. <大規模法人における飼料イネ栽培様式の類型化> 前年度に調査した大規模法人に加えて,新たな法人も調査対象に組み込む. <各種栽培要因により栽培した飼料イネの消化性測定> 引き続き消化性を測定する.新規法人の追加に伴い調査対象となる飼料イネ検体数が増加するため,測定方法の効率化およびコスト削減にも取り組む.
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