2017 Fiscal Year Research-status Report
Studies on the installation model of green infrastructure for adaptation to climate change
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17K08180
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木下 剛 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (30282453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永瀬 彩子 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (80544535)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | グリーンインフラ / ハビタット / 生物多様性 / 生態系サービス / 気候変動適応 / 公園 / 河川 / 流域管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
英国のグレーターロンドン及びテムズゲートウェイにおけるクイーンエリザベスオリンピック公園(以下QEOP)を対象として、グリーンインフラ(以下GI)の計画とその意義について検証し以下の結果を得た。QEOPの計画・事業は、人為の影響を強く受ける環境下において、GIの創出とハビタットの創出を統合する形で実施に移された。気候変動への適応という目的のもと、生態系の機能を活かしたGIの計画を通じて河川とその氾濫原の湿地・沼沢地、バイオスウェール、レインガーデン等が一体的に整備された。バイオスウェール、レインガーデン等、デザインされた要素の強いものだけでなく、河川や湿地・沼沢地等、保全または再生された生態系もGIとみなされていた。また、それらGIは生物多様性アクションプラン(BAP)においてはハビタットと見なされ導入されていた。例えば、アシ原・ヨシ原、湿性樹林地として導入されたGIはハビタットそのものであり、バイオスウェール等のGIもハビタットの中に導入されていた。そこではハビタットの創出が、BAPにおいては目的として,またGIの計画においてはGIを機能させるための手段として位置づけられていると考えられた。逆に、GIの導入をハビタット創出の手段としてとらえることも可能である。 また、欧米と同様に、植生・土壌等による自然のプロセスを通じて様々な生態系サービスを人間社会に提供する土地・施設を総称する概念としてGIを定義したうえで、日本でのGIの導入実態及び導入可能性について調査を行った。具体的には、洪水リスクの高い真間川流域、鶴見川流域を対象にGIの導入実態の調査を行ったほか、海外のGI導入例に照らし同様の導入が可能な立地や敷地について、東京の都立公園を対象として予備的な調査を行った。その結果、欧米と同様の定義に照らし、GIと呼びうる事例、GI導入の可能性がある公園・河川等を多数確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本におけるグリーンインフラ(以下GI)の社会実装を推進するという観点、また、本科研の準備段階として実施した前回の科研(JP26450490)でかなりの海外調査の実績を得たことから、平成29年度は日本でのGIの導入実態及び導入可能性の調査を最優先した。その過程で、日本にGIを導入するうえでの諸課題をある程度明らかにした上で海外の事例をみることが有効であるとの認識に至り、海外調査は事例を厳選して平成30年度以降に実施することとした。 日本でのGIの導入実態及び導入可能性については、河川および公園を対象としてある程度の見通しを得ることができたが、街路や住宅、事業所については十分な仮説を構築できなかった。進捗状況の区分はこの点を考慮した結果となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように海外事例についてはかなりの調査蓄積が得られていることから、海外調査は追加的、限定的に実施し、むしろ日本国内(総合治水対策特定河川および特定都市河川浸水被害対策法の適用された地域)の調査を重点的に行う方向で研究計画を変更する。その際、当初の研究計画において一部地域に限定していた国内調査を、可能な限り多くの地域で実施して多様な事例の収集に努める方向と、特定地域におけるGI導入可能性の調査を可能な限り詳細に行う方向の、二方向から再検討する。 昨年度、十分な事例調査ができなかった、街路・住宅・事業所等の部門について、平成30年度以降は重点的に時間を割いていくこととする。
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Causes of Carryover |
当該年度実施する予定だった海外調査を次年度以降に回し、当該年度は近在の国内調査を主に実施したため。
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