2019 Fiscal Year Research-status Report
Studies on the installation model of green infrastructure for adaptation to climate change
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17K08180
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木下 剛 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (30282453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永瀬 彩子 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (80544535)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グリーンインフラ / 都市公園 / 河川 / 洪水調整 / 津波防災 / 社会資本 / 自然資本 / 生態系サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は①河川と都市公園が隣接しているケースと、②東日本大震災の被災地における津波防災のための都市公園とその他の社会インフラが隣接しているケースにおける、グリーンインフラ(以下GI)の導入実態・導入可能性について実態調査を行った。 ①は都市公園に洪水調整機能をもったGIの導入を想定したものであるが、結論的には公園区域に遊水させることを想定した事例は少ない。そこには河川の氾濫はあくまで河川区域で受ける(公園区域の氾濫は想定しない)という前提がみてとれる。その理由として河川は自然公物、都市公園は人工公物であり、両者では公物管理の考え方が異なると考えられる。しかしK公園(山形県)では、公園区域への氾濫を想定し、河川区域に隣接する公園区域の一部を兼用工作物とする(河川区域と公園区域を重ねる)運用が見られた。またS公園(京都府)では、やはり公園区域の一部を河川との兼用工作物にして親水空間を創出していた。兼用工作物の制度は都市公園に洪水調整機能を実装できる有効な手段といえる。 ②でのGIはどう考えたらよいか。津波防災に資する公園緑地には、多重防御の一つとしての機能(存在機能)、避難路・避難地機能、復旧・復興支援機能(利用機能)が期待される(国交省,2012)。今回調査を行った避難丘を備えた公園は文字どおり避難に重きを置いているが、平常時の利用プログラムも充実しており、他の社会インフラと結合して利用機能を高める工夫もみられた。一方、多重防御の機能については周辺の海岸防災林や干潟等に負うところが大きく、自然のプロセスを活かしたGIという視点からは、公園より海岸防災林や干潟のほうがむしろGIの概念に近い。ところがこれらのオープンスペースは日常的な利用機能をあまり想定しておらず、公園その他の社会インフラとの物理的な結合関係も持たない。社会資本と自然資本の有機的な連携に配慮した計画が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
一身上の都合により十分な調査時間を確保できなかったため、科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間の延長を承認してもらったところである。現地踏査と関係者への聞き取りを主体とする調査のため、その時間を確保することができなかったことが理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象となる都市公園その他の社会資本(主に道路、河川、海岸)を対象としたグリーンインフラの導入実態ならびに導入可能性に関する現地踏査と管理者への聞き取り調査を継続し、研究成果をとりまとめる。とりまとめにあたっては、事例のタイプ、導入の目的、どのような点がグリーンインフラとみなせるか、導入にあたっての工夫や決め手、パフォーマンスや便益(特にインフラとしての機能とユーザにとっての価値)をどのように評価できるかに留意する。
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Causes of Carryover |
実施状況報告書の「現在までの進捗状況」に示した理由により、研究計画の遅延が発生したため。
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Research Products
(9 results)