2017 Fiscal Year Research-status Report
水の痕跡を琵琶湖沿岸域の未来に向けて保全継承し活用する方策の提案
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17K08184
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
村上 修一 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (60283652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
轟 慎一 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (80295633)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 土地履歴 / コンテクスト / ランドスケープ・アーバニズム / GIS / land history / context / landscape urbanism |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,琵琶湖の沿岸域における内湖干拓地15ヶ所を対象として,その物理的特徴を明らかにした。現在の地形図に旧版地図を重ね合わせ,干拓前の内湖の輪郭を把握した。その上で現地踏査を行い,内湖干拓地の地形や土地被覆を把握した。調査分析の結果,かつて内湖の存在した15ヶ所において,内湖の輪郭の内外で土地利用の異なる状況,内湖の輪郭と水路とが合致するという状況,道路網の向きが輪郭の内外で異なるという状況,内湖の輪郭と合致する地面の段差という状況に,内湖の痕跡の可能性が推測されることがわかった。それらが痕跡であるかどうか真偽を確かめるために,水路や標高の設定,土地利用・水路・道路の配置,湖岸の改変,周辺との一体的整備の有無といった干拓事業の内容を把握するとともに,地面の段差が生じ得る整備事業の有無の確認,および,干拓前から今日に至るまでの,内湖周辺や干拓地内部の土地利用や水域の変化を解明することが,今後の課題として考察された。 次に,琵琶湖東岸6都市の沿岸域において,現在の地形図に旧版地図を重ね合わせ,陸域化した水域の場所を地図化,現地踏査を行って,物理的状況を把握した。調査分析の結果,旧湖岸線に一致する宅地擁壁や道路転回スペース,旧川の線形に一致する集落内の道路,旧内湖岸線に一致する崖という,水の痕跡としての可能性を有する要素を見出した。それらの要素が形成された経緯について詳細な調査を行うことが課題として考究された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・研究対象地域において現地踏査を行い,水の痕跡の可能性を有する要素を既に把握したため。 ・水の痕跡と特定するための経緯事実に関する情報も収集済であるため。 ・当初計画していた対象より広範囲で調査成果を出し公表したため。
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Strategy for Future Research Activity |
・計画どおり,水の痕跡の可能性を有する要素について,形成された事実経緯の詳細な分析を行い,水の痕跡として特定していく。 ・水の痕跡の調査成果は,2018年7月にシンガポールで行われる国際学会にて発表する予定であり,海外の研究者との学術交流をとおして,研究の方向性を深化させる予定である。
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Causes of Carryover |
購入を計画していた分析用端末が残高不足により購入できなかったため次年度使用額が生じた。想定より調査分析補助員の謝金費用がかかったことと,国際学会で研究成果を発表するため参加登録料を支払ったことがその要因である。次年度,適切に必要な物品を購入することに充当する。
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Research Products
(1 results)