2018 Fiscal Year Research-status Report
水の痕跡を琵琶湖沿岸域の未来に向けて保全継承し活用する方策の提案
Project/Area Number |
17K08184
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
村上 修一 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (60283652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
轟 慎一 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (80295633)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 土地履歴 / コンテクスト / ランドスケープ・アーバニズム / GIS / land history / context / landscape urbanism |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,琵琶湖東岸6都市の沿岸域において,昨年度,水の痕跡としての可能性を有する要素を見出したが,今年度は,それらの形態的特徴をさらに分析し,宅地の擁壁,地面の崖,道路の法面,水路の護岸や堤防法面といった微地形,また,道路や水路の線形,異なる土地利用の境界,道路網の向きの違いといった表層の形に分類した。さらに,類型別に事例を選定し,周囲の状況との関係より,景観要素として存続ないし再生するデザインの検討を行った。その成果を,和文と英文のホームページにて公開するとともに,IFLA(国際造園家連盟)世界大会において口頭およびポスターにて発表し議論を行った。 また,対象地域で最大の水の痕跡(内湖干拓地)を対象に,文献資料で形成過程を明らかにし,道路,水路,圃場の配置構成にもとづき,軸線を中心とする景観が周囲の堤防上より眺望されると予想し検証した。道路および排水路と堤防の交点79ヶ所に視点を設定し,干拓地の道路,水路,圃場などの平面構成と周囲の地理的状況,干拓地や周囲の地形に関わる立体構成,堤防上から眺望される景観の構成について,文献資料や地図の調査および現地踏査の結果を分析し,軸線を中心とする景観の特徴を考察した。その結果,道路や排水路の軸線を中心に,その両側に圃場が並ぶという景観の特徴が明らかとなった。そのような軸線と線対称の景観の特徴は,建物やその他の要素によって弱められることもわかった。さらに,フランス式庭園の既往研究で指摘された錯視効果を生み出す勾配変化が,この干拓地にも見られた。今回新たに見出されたこのような景観価値は,水の痕跡の未来への継承に向けた知見になると考えられる。軸線景観の評価が今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
存続要因の調査分析については一部の事例にとどまっているものの,新しい景観価値を見出したことで,未来への継承に向けた知見を当初の計画以上に得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は存在意義の解明を行っていく。新たに見出された景観価値について,アンケート調査やヒアリング調査等により,明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
前年度に購入できなかった物品を購入するにあたり,その他の経費の使用を控えたところ,予想より物品費が低く抑えられたため,差額が生じた。次年度に謝金の補填分として使用する。
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Research Products
(4 results)