2019 Fiscal Year Research-status Report
水の痕跡を琵琶湖沿岸域の未来に向けて保全継承し活用する方策の提案
Project/Area Number |
17K08184
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
村上 修一 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (60283652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
轟 慎一 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (80295633)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 土地履歴 / コンテクスト / ランドスケープ・アーバニズム / GIS / land history / context / landscape urbanism |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,水の痕跡の存在意義の解明を課題として,以下の内容に取り組んだ。 まず,前年度に,最大の水の痕跡(内湖干拓地)について,フランス式庭園に匹敵する軸線景観の存在を把握し,その存在意義を明らかにしたことを受け,本年度は,その景観価値を失わずに存続させるための知見を得るべく,干拓後に相当程度の土地改変が行われた内湖干拓地を対象に研究を行った。文献資料で形成過程を明らかにし,道路,水路,圃場の配置構成にもとづき,道路および排水路と堤防の交点30ヶ所に視点を設定し,干拓地の道路,水路,圃場などの平面構成と周囲の地理的状況,干拓地や周囲の地形に関わる立体構成,堤防上から眺望される景観の構成について,その特徴を考察した。その結果,景観価値に影響を及ぼす要因として,見通しを遮蔽する要素や左右対称性を弱める要素の存在と,高低差や勾配変化を減ずる土地の改変(かさ上げ)が判明した。本研究の成果を論文にとりまとめて学会に投稿し,現在,査読審査を受けている。 一方,次年度の課題である,水の痕跡の保全継承活用策の方策提言に向けての試行を行った。具体的には,所属機関の学部演習(履修生8名)において,水の痕跡(内湖干拓地)を対象として,「干拓地は再生内湖の夢を見るか?」と題し,今後30年間の空間再編のシナリオ・デザインを課題として演習を行った。キャンプサイト,市民農園,スポーツ施設,地域交流拠点,災害時の避難所や移住者用住宅地といった,様々な土地改変のシナリオが案出されたが,30年後の空間には,水(内湖)の痕跡が確実に継承され得ることが確認された。その成果については,和文と英文で,研究代表者が管理するホームページに掲載し,公開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度末にかけてCOVID-19拡大の影響によって屋外調査を控えたため,研究対象地域における全ての水の痕跡を網羅できなかった一方,来年度の課題に一部着手して,一定の成果をあげることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度前半のCOVID-19の感染拡大状況次第ではあるが,これまでの調査や分析によって蓄積した情報や知見を活かし,また,オンライン会議システム等のツールを活用しながら,水の痕跡の保全継承活用の方策提言に向けた研究を行っていく。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大の影響で調査を見合わせ旅費や人件費に余剰が生じた。状況次第ではあるが,これまでの調査や分析によって蓄積した情報や知見を活かし,また,オンライン会議システム等のツールを活用しながら,水の痕跡の保全継承活用の方策提言に向けた研究を行っていくために必要な費用として使用する。
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