2019 Fiscal Year Research-status Report
都市の大規模樹林地は核となる生息場所となり得るのか
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17K08186
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
加藤 和弘 放送大学, 教養学部, 教授 (60242161)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 鳥類 / 移動 / 都市緑地 / 植生構造 / 障害物 / 植被率 / 都市ランドスケープ |
Outline of Annual Research Achievements |
核となる樹林地として機能していると判断された3カ所の樹林地(東京都光が丘公園、同赤塚公園、さいたま市大宮公園)を対象として調査を行った。各公園の外周を周回する調査ルートを設定し、1回の調査でこれを2周した。ルートを時速約2kmで移動しつつ、ルート上ならびにルートの公園側10m範囲内、反対側(住宅地・市街地側)5m範囲内に出現した全ての鳥類個体について、最初に視認した位置と、観察時間中に個体が移動した場合にはその移動のコースを、種名とともに、拡大印刷した地図上に記録した。光が丘公園の南側には、計画的に公園や広場、街路樹等を取り入れて整備された光ヶ丘ニュータウンがあり、核となる光が丘公園との間で鳥類個体の移動が予想されたことから、ニュータウンと隣接する住宅地内に総延長8kmあまりの調査ルートを設定して同様の調査を行った。ただし、このルートについては、1度の調査で片道一回を移動するにとどめた。調査は2018年11月から2019年10月まで、および2019年12月から2020年2月まで毎月1回、計15回行った(うち5回は前年度)。ルート沿いの植被の状況を記録するための調査を2019年11月に実施し、ルート上と両側の植被率や人工構造物の状況などを、ルートを分割したブロックごとに記録した。 後述するように、分析に使用する予定の地理情報が供給元の事情により急遽利用できなくなったことから詳細な分析は完了していない。1)鳥類個体の移動パターンの季節的変化は、前年度に調査を行った3カ所の樹林地と共通していたことが示されたほか、2)緑地に隣接する丈の高い構造物や交通量の多い道路は鳥の移動を阻害する、3)境界を越えて起こる移動の頻度は樹林性の都市忌避種では低く、「踏み石ビオトープ」のような構造では生息場所の連結性を向上させられない、など、核となる樹林地の機能に関係する知見が得られつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
野外調査の結果を、衛星画像から判読した周辺の植被の状況、ならびにDSMにより把握された建築物等の分布状況と対比させて、核となる樹林地とそれを取り巻く住宅地・市街地との間の鳥類の移動しやすさを分析する計画である。しかし2019年9月12日に、DSMの提供を依頼していたNTT空間情報株式会社より、都内の重要施設周辺のDSMデータが海外に不正に持ち出されたことが明らかになったためにサービスを一時停止する旨の連絡があり、年度内にデータの提供を受けることができなくなった。他社が扱うデータの利用も検討したが、データの精度と価格の面から適当なものが見当たらず、やむを得ず研究期間を延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、予期せぬ形で一年の期間を得ることとなったが、コロナウィルスの流行に伴い、現地調査を追加することは適当ではないと考える。従って、予定された分析に傾注する。DSMの利用が可能となり次第分析を再開し、目的とする成果を達成したい。ただし、9月末日までに予定のDSMについて利用のめどが立たない場合には、データとしての質は劣っても予算内で導入可能なDSMを選んで分析を行う。
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Causes of Carryover |
DSMの提供を依頼していたNTT空間情報株式会社が、DSMデータの海外不正流出に伴いデータの提供を中断したため、購入予定のDSMデータと、それに対応づけられる衛星画像等一連の地理情報データが購入できなくなり、その処理に必要な経費ともども執行できなくなったため。同社によるDSM供給再開を待って必要なデータ、地理情報等を購入し分析を行う予定だが、本年度半ばまでに再開しない場合には、予算内で導入可能な他のデータを導入して研究を完了させる。このための情報収集は随時行う。
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