2020 Fiscal Year Annual Research Report
Can large urban woodlands be a core habitat?
Project/Area Number |
17K08186
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
加藤 和弘 放送大学, 教養学部, 教授 (60242161)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生物生息場所 / 都市緑地 / 鳥類の移動 / エコロジカルネットワーク / 植生構造 / 緑道 / 人工構造物 / 都市忌避種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、エコロジカルネットワークの中核となる大面積の樹林地から周囲の住宅地等に向けて鳥類が移動する様子を、飛行、移動する個体の直接観察と、大面積樹林地の周囲の住宅地における鳥類の分布状況の調査を通じて把握することを目指した。1)大面積樹林地の外側の住宅地で、樹林地の存在が鳥類の種数や個体数を高める範囲については、大規模樹林地やそれに近接する規模の大きな緑道から250m程度で、都市化を嫌う傾向が強い樹林性種(樹林性の都市忌避種)の出現がほぼ見られなくなった。現在、鳥類の移動可能範囲として500mという基準が使われることがあるが、これではエコロジカルネットワークの形成がうまくいかない可能性があると考えられる。2)大面積樹林地に接続・隣接する線状・帯状のどのような緑地が鳥類の移動路となるかを検証したところ、街路樹や民家の庭、集合住宅の植栽でも境界を越える移動が促されるが、さらに遠方までの移動を期待する場合には、生息場所としても機能し得るような緑地や緑道の存在が不可欠と判断された。3)上記2点について、従来用いられている都市忌避種、都市適応種、都市利用種の間で傾向の違いを検討したところ、ヒヨドリなど都市適応種の場合は樹林地から1km程度外側まである程度の個体が分布していることが認められた。都市利用種はそもそも樹林地で見られた個体数の方が少なかった。 境界を越える移動が起こりやすい条件について検討したところ、ムクドリ、ハクセキレイなどでは農地など開けた空間に接した場所で活発な移動が見られたのに対し、多くの樹林性種では高木が生育する空間で移動が起こっていた。高速道路の高架は鳥類の大半の種の移動を妨げていたが、ドバトやハシブトガラスはその影響を受けていなかった。ヒヨドリやシジュウカラでは、高架下の隙間を通っての移動も認められた。構造物の影響については今後さらに調査を行う必要がある。
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