2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K08200
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
平野 朋子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 研究員 (20724496)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イノシトールリン脂質 / 極性成長 / 根毛 / 形態形成 / 細胞骨格 / 微小管 / 二次細胞壁 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は,以下の解析を行った.項目(a)「PI(3,5)P2とPI(4,5)P2の局在解析」について,根毛の伸長開始,伸長中,伸長終了時のライムラプスで,ホスファチジルイノシトール3,5二リン酸[PI(3,5)P2]と PI(4,5)P2の根毛における局在変化をモニタリングし,局在解析を完了した.項目(b)「ROP10に関する機能解析」について,ROP10はPI(3,5)P2に結合することを証明したほか,PI(3,5)P2合成酵素であるFAB1はタイプⅡROPであるROP10と,PI(4,5)P2合成酵素であるPIP5KはタイプⅠROPであるROP2と特異的に結合することによって,これら4者が細胞膜に局在することを見出した.また,ROP10とFAB1は互いに依存的な関係にあることも明らかにした.すなわち,FAB1のノックダウンではROP10は細胞膜に局在できず,ROP10のドミナントネガティブ体では,FAB1は細胞膜に局在できないのである.項目(c)「ICR1に関する機能解析」について,FAB1や微小管と相互作用があることを確認したICR1の根毛特異的ノックダウン変異体EXPA7>>icr1-amiRNAはFAB1のノックダウン変異体と同様に波状の表現型であったことから,FAB1/PI(3,5)P2の根毛の側面形態の制御にICR1とそのファミリーが関与していると考えた.項目(d)「PI(3,5)P2と微小管の関係をイメージング」について,FAB1ノックアウト時やROP10のノックダウン時のときの微小管は,繊維構造が崩れフラグメント化していることを明らかにした.また,微小管のプラス端標識のGFP-EB1bの観察から,FAB1のノックダウン時に微小管のプラス端が不安定になることを証明した.さらに,FAB1ノックダウンでは一次壁ではなく二次壁の形成に欠陥があることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
項目(a)から(d)について,2年間もしくは3年間で行う予定であった計画がすべて完了したほか,当初の研究項目に記載のなかった「AFMによる根毛の側面の強度測定」や「PI(3,5)P2の量的関係と根毛の形態形成の数理モデルによるシミュレーション」「一次細胞壁と二次細胞壁の詳細な解析」などに成功した. このように,現時点で,当初の研究計画を大幅に超えて,研究が進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
いままでの研究成果を論文として出版することを目指す.さらに,根毛の側面形成を制御するPI(3,5)P2と先端成長を制御するPI(4,5)P2の領域をわける因子について研究を進める.具体的には,ホスホリパーゼDやホスホリパーゼCの局在解析,変異体解析,イノシトールリン脂質の結合特異性に関する解析を中心に行う.また,根毛における二次細胞壁形成のための成分を分泌する機構についても研究を進める.具体的には,SNARE分子の同定を行う.
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Research Products
(7 results)