2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel multi-component synthesis of 1,4-dihydropyridines by auto-tandem catalysis
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17K08207
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
杉本 健士 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 准教授 (60400264)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機化学 / ヘテロ環化学 / 1,4-ジヒドロピリジン / ジヒドロピラゾール / カチオン性金触媒 / オートタンデム触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
1,4-ジヒドロピリジン誘導体は多岐に渡る薬理作用を有することが知られているが、その作用の制御には環状構造をなす五つの炭素上の置換基を適切に配置することが重要である。そこで、金錯体のオートタンデム触媒作用による1,4-ジヒドロピリジン合成反応を精査し、置換基の導入位置を高度に制御した一般性の高い新規多成分集約型1,4-ジヒドロピリジン構築法の確立を目的し研究を進めた。 その結果、当初1,4-ジヒドロピリジンだと考えていたカルバゼート由来の生成物について詳細な構造検証を行ったところ、幸運にも単結晶を得ることに成功し、X線結晶構造解析によって、これがジヒドロピラゾールであることを解明した。金錯体のオートタンデム触媒を用いた1分子のカルバゼートと2分子のプロピオレート誘導体との三成分集約型反応によるジヒドロピラゾール構築法は現在までに報告例がないことから、これについて反応条件の最適化を進め、IPrAuCl/AgSbF6の作用によってジヒドロピラゾールへと良好な収率で変換されることを見出した。また、この新規ジヒドロピラゾール構築法が種々の基質に対して有効に作用することも確認した。 一方、イミン由来の生成物についても同様に単結晶を生成させることに成功し、X線結晶構造解析により、当初の推定通り1,4-ジヒドロピリジンであることを確認した。現在、この金オートタンデム触媒作用による1分子のイミンと2分子のプロピオレートの三成分連結反応の条件の最適化を進めているところであるが、これまでのところIPrAuCl/AgOTf存在下、良好な収率で1,4-ジヒドロピリジンへと変換されることが判明している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種スペクトルの解析では決定困難であった生成物の真の構造をX線結晶構造解析によって間違いなく決定とすることに成功しており、2種の異なるオートタンデム触媒作用による多成分集約型反応について、その最適な反応条件をおおむね確立することができている。またジヒドロピラゾールを与える反応に関しては、ほぼその適用範囲を明らかとするに至っている。また、ジヒドロピリジン生成反応についても、反応条件探索の途中段階ではあるものの、現時点で60%ほどの収率で生成物を与える条件を見出すに至っている。以上のことから、研究が順当に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1,4-ジヒドロピリジンを与えるイミンを基質とする多成分集約型の反応について、より高収率で目的の成績体を与える条件を精査することから開始する。その後、多様な誘導体に対して適用し、本反応の一般性の拡張を目指す。 また、現時点までにいずれの反応も類似した1-アザブタジエンを経由することは確認されているものの、その反応機構については未解明であり、その後、それぞれが異なる成績体に導かれる理由については全く分かっていない。そこで反応機構を実証するべく、極低温下にて本反応を行い、4π-電子環状反応前駆体であるアゼチジンの単離を試み、1-アザブタジエン形成のメカニズムを探る。同時に、1-アザブタジエン発生ののちジヒドロピラゾール、ジヒドロピリジンへと至る選択性について、計算化学的手法、実験化学的手法の双方から、その詳細の解明に向けた研究を進める。
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Remarks |
・杉本健士.連続反応を基盤とした含窒素複素環の新規構築法の開発.日本薬学会北陸支部第129回例会;2017 Nov 26;金沢.(日本薬学会北陸支部学術奨励賞受賞講演) ・杉本健士.金触媒を用いた連続反応による含窒素複素環構築法の開発ー簡単に「もの」をつくるためにー.神戸大学大学院工学研究科応用化学専攻講演会;2017 Dec 14;神戸.(招待講演)
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